今回のテーマは『平均地盤面』です。
平均地盤面は建築物の高さに関する基点となる重要な規定です。
今回の記事では平均地盤面と地盤面の違い、平均GLと設計GLとBMの違い、平均地盤面の計算、算定の仕方、書き方などから注意すべきポイント(ピロティ、屋外階段、バルコニー、廊下、ドライエリアの取扱いなど)、3mの高低差がある場合の注意すべきポイントなどを分かりやすく解説します。
一緒に勉強しましょう。

まずは法文(令2条第2項)をチェック
建築基準法法令集 2025年版(令和7年版)より抜粋法文を見てみよう
建築基準法施行令
(面積、高さ等の算定方法)
第2条 次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、当該各号に定めるところによる。一~八 略
2 前項第二号、第六号又は第七号の「地盤面」とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が3mを超える場合においては、その高低差3m以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。
3~4 略
前項第二号とは建築面積(地階の1m以下の部分)、第六号は建築物の高さ、第七号は軒の高さの用語の定義です。
それらの高さの基点となるのが「地盤面」です。

平均地盤面と地盤面の違い
建築基準法における高さの算定の基点は基本的に「地盤面」となります。
「平均地盤面」という言葉は法56条の2の日影規制にのみ出てくる用語です。
例えば、同一敷地内に建築物が2棟ある場合、以下の通りになります。
- 「地盤面」は建物ごとに算定
- 「平均地盤面」は敷地ごとに算定(2棟合算して算定)
建築基準法上ではこのように使い分けられています。
高さの基点 | 適用される規定 |
---|---|
地盤面 | 地階の判定、地階の容積緩和、建築物の高さ、建築物の軒高、地階の高さ算定、隣地斜線、北側斜線、高度斜線、天空率 など |
平均地盤面 | 日影規制 |

建築基準法上ではこのように使い分けられているのですが
「地盤面」は広く日常用語として使われる言葉のなので、建築用語として分かりづらいといった面があり
地盤面も平均地盤面も併せて「平均地盤面」と呼ばれる場合が大多数です。
私も申請者とお話する時は平均地盤面と言った方が通じやすいのでそうしています。
今回の記事でも平均地盤面という言葉で解説していきます。
平均地盤面(平均GL)と設計GLとBMの違い
平均地盤面は平均GLとも呼ばれます。
設計図書には平均GL、設計GL、BMなど地盤レベルに関する似た用語が複数あります。
それぞれの違いは以下の通りです。
平均GL(Ground Level)
平均GLは、建築基準法上の基準となる地面の高さのことです。
敷地内の各地点の標高を測定し、それらの平均値を求めることで設定されます。
建築基準法における高さの算定は平均GLを基点とします。
設計GL(Design Ground Level)
設計GLは、建物の設計において基準とする地面の高さを指します。
平均GLとは異なり、設計者が意図的に設定する高さです。
設計者が自由に設定できる一方、建築基準法上の高さの算定には無関係の基点です。
BM(Benchmark)
BM(ベンチマーク)は、測量の際に基準となる固定点のことです。
建築や土木工事において、地盤面の高さを正確に測定するために使用されます。
一般的に道路上にあるマンホールなどがBMとして設定されます。
測量の際にこのBMを基準として他の地点の高さを測定することで、正確な設計図を作成することができます。
平均地盤面の基本事項
平均地盤面は建築基準法における高さの算定の基点を示します。
建築物外周の地盤レベルと周長から平均の高さを求めます。
3mを超える高低差がある場合は、領域を分けてそれぞれで計算を行います。
平均地盤面が高いと建築物の高さが高くなる
平均地盤面が高く設定されると建築物の高さが同じでも、周辺より高い建物が建ってしまいます。
近隣とのトラブルになりかねないので安全側(不利側)で設定するようにしましょう。

平均地盤面の算定方法
平均地盤面は下図の様に高低差の見付を求め、周長の合計で割る事で地盤面の平均高さを求めます。

平均地盤面を算定するにあたり注意すべきポイントがあります。
- 周長は外壁の中心線でOK
- ピロティ、屋外階段、バルコニー、廊下などは張り出し部分で算定
- ドライエリアは形状により算定位置が変わる
- 盛土する部分は安全側で
- 安全側(不利側)で設定すると設計者にもメリットがある
次から一つ一つ解説していきます。

ポイント1 周長は外壁の中心線でOK
法文上『建築物が周囲の地面と接する位置』とあるので、普通は基礎の外周部分で算定するもの解釈されますが、計算の便宜上、外壁の中心線で計算を行って構いません。
なお、周長算定を実際の外壁等の外側の面において算定する方が妥当と思われる場合は基礎の外周面で算定する。

ポイント2 ピロティ、屋外階段、バルコニー、廊下などは張り出し部分で算定
ピロティ、屋外階段、屋外廊下、バルコニーなどは実際に地面と接していない部分ではありますが、便宜上、最も外側の柱およひ'壁等の中心線を結んだ位置で地面と接しているものとして地盤面の算定を行います。
なお、局部的な庇、ウッドデッキなどは無視して構いません。
基準総則集団規定の適用事例2022 より引用
ポイント3 ドライエリアは形状により算定位置が変わる
建築物と一体になったドライエリアの場合は、通常、建築物の地面と接する位置はドライエリア上部とします。
しかし、ドライエリアの奥行きや高さが一定以上大きい場合には、建築物が地面に接する位置をドライエリアの底部とすることもあります。
また、ドライエリアの周壁と隣地境界線等とのあき寸法を考慮に入れ、一定以上のあきがある場合には、建築物の地面と接する位置はドライエリア上部とし、あきが不足する場合には、ドライエリアの底部とすることもあります。
これらは行政庁、指定確認検査機関により考え方が異なりますので事前に確認が必要です。

ドライエリアの奥行、高さ、ドライエリア外面から隣地境界線まで距離などにより、地盤レベルが『A』になるか『B』になるか判断します。

ポイント4 盛土する部分は安全側で
建築計画において盛土を行う場合、基本は実際に地面と接する位置(盛土後の高さ)とします。
しかし、必要以上に高い盛土、不自然な形態の盛土などの場合は盛土前の地盤レベルで算定します。
花壇などは、あとから容易に撤去可能である事から考慮せず、盛土前のレベルで算定しましょう。
隣地の地盤レベル、道路の地盤レベルと均衡が取れているか?などから不自然でないかを判断します。
ポイント5 安全側(不利側)で設定すると設計者にもメリットがある
平均地盤面の算定において得られた結果からある程度、安全側(不利側)に設定しますが、これは設計においては不利になります。
しかし、実は変更申請時にはそれが逆にメリットになります。
工事の途中で地盤レベルの変更が生じることは多々あります。
部分的にでも地盤レベルが下がった場合、再計算すると平均地盤面も下がってしまいます。
平均地盤面が下がると、建築物の高さはその分上がってしまいます。
建築物の高さの増加は計画変更になります。
設計変更が平均地盤面の余裕率の範囲であれば建築物の高さは変わらず、軽微変更で処理することができます。
設計する上でのテクニックですので有効活用して下さい。
高低差が3mを超える場合
平均地盤面を算定する上で、一番高い地盤レベルと一番低い地盤レベルとの間に3m以上の高低差がある場合は、領域を2つに分けて計算します。
6mを超える場合は3領域に、9mを超える場合は4領域に、となります。
高低差が3mを超える場合においても注意すべきポイントがあります。
- 3mの起算点は上から?下から?
- 3mのラインは直線で結ぶ
- 3m以内の方が合理的な場合は3m以下で領域分けしてもよい
- 日影規制の平均地盤面を算定する場合は3mを超えても領域分けしない
こちらも一つ一つ解説していきます。

ポイント1 3mの起算点は上から?下から?
3mを超える高低差のある敷地において、3mのスタートとなる起算点は最低点からでも最高点からでも構いません。
設計者の判断で設計の都合上、合理的な方を設定して下さい。
ただし、都道府県の取扱い基準により最低点から算定する事を指定している行政庁もありますので事前にご確認下さい。
基準総則集団規定の適用事例2022 より引用
ポイント2 3mのラインは直線で結ぶ
3mの高低差のラインが曲線であっても直線で結びます。
領域1、領域2とも下図のE~F間には3mの地盤レベルがあるものとして計算を行います。
基準総則集団規定の適用事例2022 より引用
ポイント3 3m以内の方が合理的な場合は3m以下で領域分けしてもよい
建築物の形状により3m以下で設定した方が合理的な場合は、3m以下の領域分けとする事ができます。
確認申請面積高さ算定ガイド より引用
ポイント4 日影規制の平均地盤面を算定する場合は3mを超えても領域分けしない
日影規制の算定の元になる『平均地盤面』を算定する場合は3m超えても領域分けせず、1領域で計算します。
建物が複数棟あっても総合して計算を行い、一つの平均地盤面を算出します。
日影規制だけは少し特殊で、敷地にかかる規定なので、敷地全体の建物、高低差を総合して計算を行います。

勘違いしやすいポイント
日影規制の検討を行う場合は『平均地盤面』を使用しますが
日影規制がかかるかどうかを判定(最高高さ10m超え、軒高7m超えなど)する建物高さは『地盤面』からの高さとなります。
平均地盤面の規定(令2条第2項)の法改正遍歴について
平均地盤面の規定(令2条第2項)が施行されたのは昭和25年11月23日です。
その後、昭和50年、平成17年に改正があり、現行の法文になっています。
施行当時から内容はほとんど変わっていません。
法改正遍歴、既存不適格を調べるには令和改訂版 建築確認申請条文改正経過スーパーチェックシートが非常に役立ちます。
まとめ
- 建築基準法における高さの算定の基点は基本的に「地盤面」。
- 「平均地盤面」という言葉は法56条の2の日影規制にのみ出てくる。
- 地盤面も平均地盤面も併せて「平均地盤面」と呼ばれる事が多い。
- 平均GLは、建物の接する周囲の平均の地面の高さ
- 設計GLは、設計者が意図的に設定する高さ
- BMは、測量の際に基準となる固定点の高さ
- 平均地盤面が高く設定されると建築物の高さが同じでも、周辺より高い建物が建つ。
- そのため、安全側(不利側)で設定する事に配慮する必要がある
- 平均地盤面算定におけるポイントは以下の通り
- 周長は外壁の中心線でOK
- ピロティ、屋外階段、バルコニー、廊下などは張り出し部分で算定
- ドライエリアは形状により算定位置が変わる
- 盛土する部分は安全側で
- 安全側(不利側)で設定すると設計者にもメリットがある
- 高低差が3m超える場合のポイントは以下の通り
- 3mの起算点は上から?下から?
- 3mのラインは直線で結ぶ
- 3m以内の方が合理的な場合は3m以下で領域分けしてもよい
- 日影規制の平均地盤面を算定する場合は3mを超えても領域分けしない
本記事の作成にあたり参考にした条文、書籍等
- 建築基準法施行令 第2条第2項(面積、高さ等の算定方法)
- 基準総則集団規定の適用事例2022
- 確認申請[面積・高さ]算定ガイド 第2版
- 建築基準法 目からウロコの確認申請 2020
- 令和改訂版 建築確認申請条文改正経過スーパーチェックシート