今回の記事は宅配ボックスの容積緩和です。
宅配ボックスの容積率緩和に関する技術的助言は国土交通省から平成29年と平成30年の2回出ており、混同しがちなので時系列で整理して紹介します。
- それぞれの技術的助言は何が違うのか?
- 現在はどちらを適用すればよいのか?
- 宅配ボックスの容積緩和はいつから始まったのか?
などわかりやすく解説します。
是非最後までご覧ください。

まずは法文(令2条)をチェック
建築基準法法令集 2026年版(令和8年版)より抜粋法文を見てみよう
建築基準法施行令
(面積、高さ等の算定方法)
第2条 次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、当該各号に定めるところによる。一~三 略
四 延べ面積 建築物の各階の床面積の合計による。ただし、法第52 条第1項に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、次に掲げる建築物の部分の床面積を算入しない。
イ~ホ 略ヘ 宅配ボックス(配達された物品(荷受人が不在その他の事由により受け取ることができないものに限る。)の一時保管のための荷受箱をいう。)を設ける部分(第3項第六号及び第137 条の8において「宅配ボックス設置部分」という。)
2 略
3 第1項第四号ただし書の規定は、次の各号に掲げる建築物の部分の区分に応じ、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に当該各号に定める割合を乗じて得た面積を限度として適用するものとする。
一 自動車車庫等部分 1/5
二 備蓄倉庫部分 1/50
三 蓄電池設置部分 1/50
四 自家発電設備設置部分 1/100
五 貯水槽設置部分 1/100
六 宅配ボックス設置部分 1/1004 略
宅配ボックスとは?
宅配ボックスとは、不在時でも荷物を受け取れるように設置された収納設備で、マンションや戸建住宅、オフィスビルなど幅広い場所で利用が進んでいます。再配達の削減や受け取り時間の自由化といった利便性の高さから、現代の生活インフラとして欠かせない存在になりつつあります。
近年、ネット通販の普及により宅配物の取扱量は急増し、生活用品から大型家電までオンラインで購入することが一般化しました。その一方で、不在による再配達は配送業者の負担増やCO₂排出量の増加といった社会的課題を生み出しています。
宅配ボックスはこうした問題を緩和し、住民・配送業者双方にメリットをもたらす仕組みとして注目されています。非対面で受け取れる点は、防犯性や衛生面の観点からも現代のライフスタイルに適しています。
さらに、宅配ボックスの普及を後押しする動きとして、建築基準法における容積率の緩和措置が挙げられます。従来、建築物の容積率に算入されることで設置スペースの確保が難しいケースがあり、特に都市部の敷地では導入が進みにくい状況がありました。こうした課題を受け、宅配ボックスが建築物の面積を圧迫して設置できなくなることを防ぐため、一定条件のもとで容積率に算入しない緩和措置が設けられています。
これにより、より多くの建築物で宅配ボックスを導入しやすくなり、社会全体の物流効率化と住環境の向上に寄与することが期待されています。
宅配ボックスに関わる技術的助言と容積緩和の開始時期
宅配ボックスに関わる技術的助言は平成29年と平成30年に発出されています。
また、宅配ボックスの容積率の緩和が施行されたのは平成30年です。
時系列に並べると以下の通りです。
- 平成29 年11 月10 日 国住街第1 2 7 号 共同住宅の共用の廊下に宅配ボックス等を設置した場合の建築基準法第52 条第6項の規定の運用について(技術的助言)
- 平成30年9月21日 国住指第2075号、国住街第188号 建築基準法の一部を改正する法律等の施行について(技術的助言)
- 平成30年9月25日施行 宅配ボックスの容積緩和
宅配ボックスの容積緩和が施行される直前に技術的助言が発出されています。
また、そのおよそ1年前にも宅配ボックスに関わる技術的助言が発出されています。
それではそれぞれの具体的な内容を以下より見ていきましょう。

平成29 年11 月10 日 国住街第1 2 7 号 共同住宅の共用の廊下に宅配ボックス等を設置した場合の建築基準法第52 条第6項の規定の運用について(技術的助言)
平成29年11月10日当時は宅配ボックスの容積緩和は施行前でした。
本技術的助言は共同住宅を対象としたもので、共同住宅の共用廊下の一部に宅配ボックスが設置された場合、その宅配ボックスの部分は共用廊下の面積に算入してよいという技術的助言です。
共用廊下面積への算入の対象となる部分は、共用廊下と一体的な宅配ボックスの部分のみで、預け入れ専有の部分は対象外です。
平成29 年11 月10 日 国住街第1 2 7 号 共同住宅の共用の廊下に宅配ボックス等を設置した場合の建築基準法第52 条第6項の規定の運用について(技術的助言)より引用
平成30年9月21日 国住指第2075号、国住街第188号 建築基準法の一部を改正する法律等の施行について(技術的助言)
平成30年9月21日に発出された本技術的助言は、宅配ボックスの容積緩和の規定の施行に伴い出されたものです。
当該技術的助言では、対象用途を共同住宅に限定せず、いずれの用途であっても適用可能です。
また、宅配物の預け入れに使用する専有部分についても、容積緩和面積として算入して差し支えありません。
廊下と一体的で明確な区切りが無い場合は、宅配ボックスの作業スペースとして1mの部分を容積緩和面積に算入することができます。
なお、延べ面積の1/100の面積までが、容積緩和の対象面積となります。
平成30年9月21日 国住指第2075号、国住街第188号 建築基準法の一部を改正する法律等の施行について(技術的助言)より引用
現在はどちらの技術的助言を適用すればよい?
それぞれの技術的助言に若干の違いがありますが、現在はどちらを適用すればよいのでしょうか?
答えはどちらも有効ですので、どちらを適用しても支障ありません。
それぞれにメリットとデメリットが存在するため、建築物の計画に応じて、より多くの利点が得られる方を選択して適用することが可能です。
メリット、デメリットを表にまとめると以下の通りです。
| 平成29年 技術的助言 | 平成30年 技術的助言 | |
|---|---|---|
| メリット | ・共用廊下の面積に算入のため1/100の制限がない | ・建築物の用途を問わない ・預け入れ専有部分も算入できる |
| デメリット | ・共同住宅の用途に限られる。(平成30年の改正により老人ホームも可) ・預け入れ専有部分は算入できない | ・延べ面積の1/100が限度 |
これらのメリット、デメリットから建築物の計画に応じて、より多くの利点が得られる方を選択して適用しましょう

対象となる宅配ボックス
宅配ボックスは、配達された物品の一時保管を目的に設置される設備です。
壁や床などに定着していないものや単なる物品の保管を目的に設置されたロッカーやトランクルームなどは容積緩和の対象となりません。
また、宅配ボックス機能について、ダイヤル式のもの、外部電源を利用して施錠するものの区分は問いません。
荷受けについて、住宅の居住者の利用を想定するもの、事務所の勤務者の利用を想定するもの、商業施設等の不特定多数のものの利用を想定するものの区分も問いません。
なお、宅配ボックスには、荷受けのための電子操作盤や構造上一体的に設けられた郵便受け、当該宅配ボックスに付加的に設けられるAED保管庫等の設備を含んでも差し支えありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象とならないもの | ・壁や床などに定着していないもの ・物品の保管を目的とするロッカーやトランクルーム |
| 施錠方法 | ダイヤル式、電子施錠式を問わない |
| 利用者の想定 | 居住者用、勤務者用、不特定多数の者用を問わない |
| 含んで構わないもの | ・荷受けのための電子操作盤 ・構造上一体的に設けられた郵便受け ・付加的に設けられるAED保管庫等 |
まとめ
- 宅配ボックスとは、不在時でも荷物を受け取れるように設置された収納設備。
- ネット通販の普及、再配達の軽減などのため宅配ボックスの需要が高まっている。
- 宅配ボックスの設置の普及のため建築基準法の容積緩和の措置が取られた。
- 宅配ボックスの容積緩和に関する技術的助言は平成29年と平成30年に発出されている。
- 平成29年の技術的助言は共同住宅の共用廊下に含めてよいという内容
- 平成30年の技術的助言は建築基準法改正により宅配ボックスの容積緩和を詳しく説明する内容
- 双方内容が若干異なるがどちらも有効な為、有利な方を選択可能。
- 対象となる宅配ボックスは以下の通り
- 壁や床などに定着していないもの、物品の保管を目的とするロッカーやトランクルームは対象外
- ダイヤル式、電子施錠式などの施錠方法は問わない
- 居住者用、勤務者用、不特定多数の者用など、利用者は問わない
- 荷受けのための電子操作盤、構造上一体的に設けられた郵便受け、付加的に設けられるAED保管庫等は宅配ボックスの面積に含んでよい
本記事の作成にあたり参考にした条文、書籍等
- 建築基準法施行令 第2条 (面積、高さ等の算定方法)
- 平成29 年11 月10 日 国住街第1 2 7 号 共同住宅の共用の廊下に宅配ボックス等を設置した場合の建築基準法第52 条第6項の規定の運用について(技術的助言)
- 平成30年9月21日 国住指第2075号、国住街第188号 建築基準法の一部を改正する法律等の施行について(技術的助言)


