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建築副主事とは?~二級建築士の可能性が広がる?資格の内容、試験などについて解説します

にゃんぴー

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建築副主事とは
悩むペンギン(ペン築士)

建築主事は聞いた事があるけど

建築副主事って何?

小規模な建築物の確認済証を下付する事ができる建築副主事というものが誕生しました。

二級建築士の方が資格を取得する事ができるので可能性が広がりますね。

本日の授業は建築副主事について解説します。

もぐら先生
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建築副主事とは?

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(第13次地方分権一括法案)が令和5年3月3日に閣議決定されました。

この法律案には7法律の改正が盛り込まれており、その一つに建築基準法が含まれています。

令和5年6月16日に改正法が公布され、令和6年4月1日に施行されました。

その改正法により「建築副主事」が誕生しました。

令和6年度に第一回目の資格試験が実施されました。

二級建築主事という名称

令和5年前半に、二級建築主事(仮)という名称で各建築雑誌などで紹介されていましたが建築副主事という名称に正式決定しました。

そもそも建築主事って何?

悩むペンギン(ペン築士)

建築主事って役所や確認検査機関の確認済証をおろす人でしょ?

ほぼ正解ですが少し違います。

建築主事を知るには、まず建築基準適合判定資格者について解説しましょう。

もぐら先生

法文を見てみよう

【建築基準法第5条】

(建築基準適合判定資格者検定)

第5条 建築基準適合判定資格者検定は、建築士の設計に係る建築物が第6条第1項の建築基準関係規定に適合するかどうかを判定するために必要な知識について、国土交通省が行う。

 前項の検定は、これを分けて一級建築基準適合判定資格者検定及び二級建築基準適合判定資格者検定とする。

 一級建築基準適合判定資格者検定は、一級建築士の設計に係る建築物が第6条第1項の建築基準関係規定に適合するかどうかを判定するために必要な知識について行う。

 二級建築基準適合判定資格者検定は、二級建築士の設計に係る建築物が第6条第1項の建築基準関係規定に適合するかどうかを判定するために必要な知識について行う。

 一級建築基準適合判定資格者検定は、一級建築士試験に合格した者でなければ受けることができない。

 二級建築基準適合判定資格者検定は、一級建築士試験又は二級建築士試験に合格した者でなければ受けることができない。

7~11 略

建築基準法法令集 2025年版(令和7年版)より抜粋

法5条の定める建築基準適合判定資格者検定の合格した建築基準適合判定資格者のうち確認、検査を行う者で

  • 特定行政庁の職員→建築主事(二級は建築副主事)
  • 確認検査機関の職員→確認検査員(二級は副確認検査員)

と呼びます。

確認検査機関に建築主事は居ないんです。

確認検査員という名称はピンとこない方が多いみたいですね。

もぐら先生

建築主事、建築副主事、確認検査員、副確認検査員は建築基準関係規定に適合している事を

  • 確認した場合に確認済証
  • 検査した場合に検査済証

を交付することができます。

今回、新設された建築副主事、副確認検査員は2級建築士が設計、監理できる規模の建築物の確認、検査を行うことができるものです。

2025年問題の影響

なぜ小規模な建築物の確認、検査を行う制度、人材が必要なのか?

その理由の一つとして少子高齢化による人手不足があげられます。

1950年までに生まれたいわゆる団塊の世代が2025年には75歳以上(後期高齢者)となります。

特に建築主事、確認検査員などはベテランの方が多いので、その世代の引退、退職が相次ぎ現在、慢性的な人手不足、人材不足となっています。

法4条に記載されている様に人口25万人以上の市には必ず建築主事を置かなければなりません。

人口25万人未満の市町村は特定行政庁となっている場合もあれば、4号建築物(改正後は三号建築物)のみを管轄する限定特定行政庁となっている場合もあります。

また、現在確認申請の9割以上は民間の確認検査機関に申請されており、限定特定行政庁で実務経験として加算される部署に人員を配置するには限界があります。

そこで実務経験や受験要件のハードルを下げ、建築行政業務の担い手を増やし地方分権改革の促進を目的に改正が行われました。

建築確認上の2025年問題

2025年4月の建築基準法改正で四号建築物の範囲が縮小されました。

また、省エネ法の改正によりすべての建築物に省エネ基準適合が義務化されます。

それにより確認検査機関の業務量が今までより大幅に増加します。

物価高高騰の影響などもあり2025年までに現行手数料の2倍の手数料になる事もあり得ると危惧されています。

今までと同じ件数を同じ人員でこなす事も困難となり、人員の確保が急がれます。

二級建築士の可能性が広がる?

従前は一級建築士で確認検査業務の実務経験2年以上であることが建築基準適合判定資格者検定の受験要件でした。

令和6年4月の改正により二級建築士が受験可能で、実務経験に関しても緩和され、いつでも受験可能となりました。

受験資格変更の図解

令和6年に第一回目の資格検定が行われました。

二級建築士のあなた!

あなたが建築副主事になるかもしれません。

もぐら先生

建築副主事はこんな方におすすめです

  • 二級建築士で一級建築士の勉強中の方
  • 区役所・市役所や確認検査機関に就職したい方
  • 木造建築物に詳しい方
  • 図面のチェックや細かい計算などが得意な方

確認検査機関への転職に興味がある方はこちらの記事もご覧ください。

建築基準適合判定資格者検定ってどんな試験?

試験の名称が一級、二級建築基準適合判定資格者検定に変わりました。

  • 一級建築基準適合判定資格者検定 → 一級建築士が受験可能
  • 二級建築基準適合判定資格者検定 → 一級建築士、二級建築士が受験可能

一級建築基準適合判定資格者検定の概要

試験は毎年8月末頃に実施されています。

受験手数料は2万7千円です(都道府県、市区町村の職員は無料です)

検定内容は考査A、考査Bがあります。

考査Aは法規の五肢択一の問題が17問(建築士の法規の学科試験の様な感じです)

考査Bは記述試験です。配置図、平面図、立面図、断面図、設計条件などを提示され、その計画が出題される規定(採光、高さ制限、防火区画など)に適合しているか、いないかを記述する試験です。

回答欄には適合しているか、していないか〇×で記載し、根拠条文を列記し、その理由を順序だてて記述します。設備、構造に関する出題もあります。

にゃんぴー

私が受験した時の感想は、記述問題の時間がとにかく足りないので、過去問の回答を何度も繰り返し書いて、書くスピードを上げる特訓をしました。

過去問で勉強

国土交通省のHPで過去問が公開されています。

しかし、考査Aの回答が載っていないのと考査Bの出題内容、回答が載っていないため、こちらの資料だけで勉強することは困難です。

外部リンク(国土交通省HP)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000028.html

テキストで勉強

一般財団法人建築行政情報センター(ICBA)が毎年発行するテキストがあり、そちらで勉強する必要があります。

過去5年の過去問が掲載されています。

そのテキストは一般財団法人建築行政情報センターでしか買えないため、会員でない方は一般会員に登録(無料)して購入する必要があります。

テキストだけだと4000円程度で、講習会付きだと14000円程度となっています。

外部リンク(ICBA HP)https://www2.icba.or.jp/products/list.php?product_id=9

建築基準適合判定資格者検定についての詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。

一級建築基準適合判定資格者検定の概要

検定日

令和7年11月14日(金)

時間割

10:00~12:00(2時間) 考査A (50点)

13:10~16:35(3時間25分) 考査B (100点)

受験申込書の交付

受検申込書は都道府県建築主務課で交付されます。

郵送での取り寄せも可能です。

受験申込期間

令和7年7月9日(水)~令和7年7月18日(金)

郵送での申し込みも可能です。

受験手数料

27,000円(都道府県市区村長の職員は無料)の収入印紙を受検申込書に貼り付け

合格発表

令和8年3月16日(月)頃の予定

公開されている考査概要

考査A

時  間:2時間(120分)

問題内容:小規模建築物に関し基本的かつ総括的で広範な知識を問う問題(50問程度)

設問形式:正誤二択形式

配  点:50点

考査B

時  間:3時間25分(205分)

問題内容:建築計画1(図面審査)
     確認審査業務で日常的に扱うことの多い審査項目に係る戸建住宅を対象とした審査(5問程度)
     建築計画2(図面審査)
     建築敷地及び建築物用途の条件が建築計画1よりも複雑な建築計画における防火避難等の単体規定及び用途規制、建ぺい率、容積率、建物の高さ制限等の集団規定に係る審査(10問程度)
     建築計画3(構造審査)
     許容応力度計算(地震力の計算・応力計算)に係る審査(5問程度)

設問形式:記述式

配  点:100点

にゃんぴー

一級では考査Aが五肢択一ですが、二級では正誤二択形式つまり○×問題となっています。

合計150点満点ですので2/3以上の100点以上が合格ラインになると思います。

一級の場合、足切りは特に無いので二級もなしだと思います。

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令和6年度の二級建築基準適合判定資格者検定の合格発表について

合格発表の結果は以下の通りです。

受験者数合格者数合格率合格基準点
1154名347名30.1%94点

問題はこちら 外部リンク(国土交通省HP)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000188.html

考査Aの回答はこちら 外部リンク(国土交通省HP)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001768164.pdf

にゃんぴー

初の試験だったので合格基準点が大幅に下がったようです。

令和7年度にチャレンジする方は令和6年の過去問とICBAのテキストで勉強して下さい。

頑張って下さい。応援しています。

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