確認申請の解説

『指定確認検査機関』に転職する方法、建築士や建築主事の資格取得を目指しながら仕事ができます。事務からスタートもOK。

にゃんぴー

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指定確認検査機関に転職する方法

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にゃんぴー

わたしは指定確認検査機関で10年以上、審査の仕事をしています。

実際に長く働いてきた中で指定確認検査機関の仕事は、どんな仕事なのか?どんなメリット、デメリットがあるのか?どんな方に向いているのか?などを解説します。

現在、転職を考えている方の選択肢の一つとして参考にしてください。

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指定確認検査機関とは?

まずは指定確認検査機関とは何かを解説します。

建築物を新築、増改築などを行う際には着工前までに『確認済証』を取得する必要があります。

確認済証を取得するには確認申請を提出し、建築基準法関係規定に適合している事を確認してもらう必要があります。

その確認申請の提出先は昔は建築場所を所管する特定行政庁に限られていました。

平成11年5月1日の法改正により確認検査業務が民間に開放され、指定確認検査機関が誕生しました。

指定確認検査機関と特定行政庁の違い

確認申請は特定行政庁、指定確認検査機関どちらに提出することも可能ですが提出できる業務エリアが違います。

例えばA県B市とA県C市の確認申請があったとします。

特定行政庁の場合はB市の確認申請書はB市役所で、C市の確認申請書はC市役所にしか提出する事ができません。

一方で指定確認検査機関は都道府県単位で業務エリアが決まっていますのでA県が業務エリアであればB市、C市両方の確認申請書を提出する事ができます。

特定行政庁と指定確認検査機関の業務区域の違い

指定確認検査機関の業務エリアはどう決められている?

指定確認検査機関の業務エリアはさまざまで一つの県だけが業務エリアの指定確認検査機関もあれば全国が業務エリアの指定確認検査機関もあります。

業務エリアは指定権者の違いにより変わり、指定権者の種類は3種類あります。

  • 大臣指定
  • 地方整備局指定
  • 都道府県指定

例えば

  • 国土交通大臣指定 → 業務エリア 全国
  • 関東地方整備局指定 → 業務エリア 関東地方
  • 神奈川県知事指定 → 業務エリア 神奈川県

といったように指定権者により業務エリアが異なります。

にゃんぴー

わたしがカウントしてみた所

  • 大臣指定の機関 35機関
  • 地方整備局指定の機関 43機関
  • 都道府県指定の機関 64機関

ありました。

(2023年7月現在)

指定確認検査機関の指定権者の割合

建築主事と確認検査員の違い

確認済証や検査済証を交付するには建築基準適合判定資格者という資格が必要です。

建築基準適合判定資格者の内、特定行政庁の職員を建築主事、指定確認検査機関の職員を確認検査員といいます。

よく「確認検査機関の建築主事さんの見解を・・・」などと言う方が居ますが、確認検査機関に建築主事はいません。

「確認検査機関の確認検査員の見解を・・・」が正解です。

にゃんぴー

細かいようですが、正しく言えている人は詳しい人だなぁと思います。

指定確認検査機関はどんな仕事をしてる?

指定確認検査機関の確認申請に関わる仕事は大きく分けて3つになります。

  • 審査業務
    • 意匠審査
    • 設備審査
    • 構造審査
  • 検査業務
  • 事務業務

一つずつ解説していきますね。

審査業務

指定確認検査機関の根幹となる業務がこの審査業務です。

なぜ根幹かというと、建築物の確認申請を受けると付属の工作物や昇降機があったりします。

また、性能評価、省エネ適合判定、仮使用など関連業務も受注することとなります。

そしてそれらには最終的に検査が必要となります。

建築物の確認申請を受けることにより付随してさまざまな業務を請け負う事ができるため根幹となる訳です。

審査には意匠審査、設備審査、構造審査があり、審査を行うのは主に補助員になります。

補助員とは?

審査業務は確認検査員の有資格者でなくても審査を行うことが可能です。

その審査を行う者を補助員といいます。

最終的には確認検査員が確認しますので審査の補助という形になります。

検査業務

確認申請の中間検査、完了検査や瑕疵保険、フラット、性能評価などの現場検査を行います。

こちらは審査と違い、有資格者でないと検査を行うことができません。

一度資格を取得してしまえば、長く働くことができます。

65歳以上の方でも活躍している方がたくさんいます。

事務業務

審査業務、検査業務には多くの事務作業があります。

それらの業務をすべて審査担当、検査担当がこなすのは中々難しいので分業して事務作業を専門で行う場合が多いです。

確認済証の発行、消防同意の発送・梱包、検査済証の発行、検査日程の調整などさまざまです。

にゃんぴー

わたしが指定確認検査機関に入社した時は2級建築士で確認申請の制度の右も左もわからない状態でした。

最初は事務業務からはじめ、その中で確認申請の流れ、諸手続きの方法などを覚えていきました。

その後一級建築士を取得し、意匠審査業務を開始し、現在確認検査員となっています。

この様に未経験でも少しづつステップアップしていくことが出来るのが指定確認検査機関の最大の魅力だと思います。

その他の業務

指定確認検査機関は確認申請以外にも省エネ適合判定、性能評価関係、ガイドライン調査、瑕疵保険など多岐にわたる申請業務があります。

その中にあなたの得意分野があるかもしれません。

現在、指定確認検査機関は人手不足です

指定確認検査機関の職員には比較的ベテランの方が多く、2025年問題により引退、退職していく方が多く、現在人手不足です。

また、2025年に予定している法改正により、四号建築物の範囲が縮小、省エネ適合判定の対象拡大により業務量の増加が懸念されています。

どこの確認検査機関も人手不足だと聞きます。

指定確認検査機関への転職をお考えの方にとっては今が好機かもしれません。

指定確認検査機関に転職する方法

にゃんぴー

私は2009年3月より指定確認検査機関に勤めています。

その後、一度転職し現在は他の指定確認検査機関に勤めています。

2社で延べ14年ほど勤めている中で途中入社してきた方もたくさんいます。

途中入社の方の入社方法は主に社員の紹介、転職サイト、職安などでした。

社員の紹介

一番多い入社方法が社員の紹介です。

意匠審査担当が足りない、構造審査担当が足りない、となるとやはり即戦力となる経験者が求められますので紹介が多いです。

指定確認検査機関は各都道府県に20~30機関ぐらいしかないので狭い業界でもあります。

悩む女性

でも指定確認検査機関に知り合いなんて居ないよ。

という方がほとんどかと思います。(まあそうですよね)

指定確認検査機関のHPの求人募集

指定確認検査機関のホームページで求人募集を出しているケースがよくあります。

具体的にお目当ての確認検査機関が決まっているのであればホームページの求人募集から応募してみるのも良いかもしれません。

ただ、なぜかわかりませんが、今まで長年勤めていてホームページから応募してきた方はほとんどいませんでした。

ホームページには常時求人募集が出されている事が多いので企業側からしても緊急で募集しているという訳ではないのかもしれません。

転職サイトの活用

ホームページでの募集とは違い、すぐにでも採用したいという時に企業側が使うのが転職サイトです。

最近では転職サイト経由で入社される方が多くなってきています。

また転職サイトのいい所は、自分の市場価値が分かるという点です

市場価値は今までの学歴、職歴、資格、年齢などにより算出されます。

もしあなたが「給料、報酬が低い」と感じているのなら、その会社はあなたの市場価値をきちんと評価できていないのかもしれません。

指定確認検査機関への転職に限らず、転職をお考えの方は登録しておくことをおすすめします。

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転職サイトへの登録が1つでは希望に沿った求人を見逃してしまう可能性があります。

また、担当してくれるエージェントによってサポートの内容も異なりますので複数登録し比較検討するのがおすすめです。

指定確認検査機関に転職するメリット、デメリット

にゃんぴー

わたしの考える指定確認検査機関に転職するメリット、デメリットは以下の内容です。

メリット

  • 一級建築士、建築基準適合判定資格者などの資格取得を目指しながら仕事ができる。
  • 一級建築士、建築基準適合判定資格者などを取得できれば高齢でも仕事が続けられる。
  • 日々の業務が建築法規の仕事なので資格取得のための法規の試験に強くなる。
  • 残業は少ない。(わたしが勤めた2社はそうでした)
  • 多少の建築の知識があれば未経験でも大丈夫。(わたしはそうでした)
  • 意匠、設備、構造、性能評価、省エネなど自分の得意な分野の専門家になれる。

デメリット

  • 資格を取得し、確認検査員として確認済証、検査済証を出す立場になると責任重大。
  • 申請されたものをチェックする仕事なので自分で創り出したり創造したりする仕事でない。
  • 手順に従い同じ内容のチェックを繰り返し行う。

更なるスキルアップも可能

建築に関わる資格の最上位が一級建築士だと思っていませんか?

一級建築士取得後に受験可能な資格がこんなにあります。

一級建築士取得後に受験できる資格一覧表

指定確認検査機関の業務に携わる者は一級建築士が設計してきたものを審査する訳ですから更に上位の資格が必要となる訳ですね。

もぐら先生

まとめ

  • 確認検査業務は平成11年の法改正により民間に開放された。
  • 指定確認検査機関には業務エリアが定められている。
  • 建築基準適合判定資格者の内、特定行政庁の職員を建築主事、指定確認検査機関の職員を確認検査員という。
  • 指定確認検査機関の確認申請の業務は主に3種類
    • 審査業務
    • 検査業務
    • 事務業務
  • 指定確認検査機関の業務は未経験でもステップアップしながら専門職に移行できる。
  • 現在、指定確認検査機関は人手不足で転職の好機である。
  • 指定確認検査機関に転職するならホームページの求人を探してみる。
  • 転職を考えているなら転職サイトに登録するのがよい
  • 転職サイトは複数登録して比較検討する。
  • 指定確認検査機関は資格取得を目指しながら仕事ができる。
  • 一級建築士取得後も更なるスキルアップがある。

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