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建築基準法における『建築物の高さ』をわかりやすく解説

にゃんぴー

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建築基準法における建築物の高さ
悩むペンギン(ペン築士)
  • 建築物の高さはどこから測るの?
  • 屋上部分の1/8の計算に設備機器や太陽光パネルは含める?
  • 屋上部分と屋上突出物って何が違うの?

そういった疑問にお答えします。

今回の記事は建築基準法における『建築物の高さ』です。

建築物の高さの起点は、適用される規定によって異なります。

また、屋上に設ける塔屋(ペントハウス)や設備機器、太陽光パネルなどは、その水平投影面積が建築面積の1/8以下の場合に建築物の高さに不算入となります。

一方で屋上に設けるハト小屋や煙突、避雷針、開放性の高い手すりなどは、1/8以下に関係なく高さに不算入となります。

建築基準法では、これらを『屋上部分』と『屋上突出物』に分類していますが、両者は似ているため混同されやすい点です。

本記事では、この違いを整理し、詳しく解説します。

もぐら先生

まずは法文をチェック

法文を見てみよう

建築基準法施行令

(面積、高さ等の算定方法)
第2条 次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、当該各号に定めるところによる。

一~五 略

六 建築物の高さ  地盤面からの高さによる。ただし、次のイ、ロ又はハのいずれかに該当する場合においては、それぞれイ、ロ又はハに定めるところによる。

イ 法第56 条第1項第一号の規定並びに第130 条の12 及び第135 条の19 の規定による高さの算定については、前面道路の路面の中心からの高さによる。

ロ 法第33 条及び法第56 条第1項第三号に規定する高さ並びに法第57 条の4第1項、法第58 条第1項及び第2項、法第60 条の2の2第3項並びに法第60 条の3第2項に規定する高さ(北側の前面道路又は隣地との関係についての建築物の各部分の高さの最高限度が定められている場合におけるその高さに限る。)を算定する場合を除き、階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の1/8以内の場合においては、その部分の高さは、12 m(法第55 条第1項から第3項まで、法第56 条の2第4項、法第59条の2第1項(法第55 条第1項に係る部分に限る。)並びに法別表第4ろ欄2の項、3の項及び4の項ロの場合には、5m)までは、当該建築物の高さに算入しない。

ハ 棟飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物は、当該建築物の高さに算入しない。

七~八 略

2~4 略

建築基準法法令集 2026年版(令和8年版)より抜粋

建築物の高さの起点

建築基準法における『建築物の高さ』は原則として地盤面を起点として計測されます。

ただし、道路斜線については前面道路の中心のレベルが起点となります。

高さ制限の種類高さの起点
道路斜線前面道路の中心
隣地斜線地盤面
北側斜線、高度斜線地盤面
避雷設備の設置地盤面
第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
田園住居地域 内の絶対高さ
地盤面
日影規制にかかるかどうかの検討地盤面
日影規制の検討平均地盤面

地盤面とは建築物の周囲の地盤レベルの平均値です。

平均地盤面とは敷地内に建物が複数ある場合や3mを超える高低差がある場合に全ての部分の平均を出した地盤面です。

地盤面、平均地盤面についてはこちらの記事で詳しく解説しているので併せてご覧下さい。

日影規制については、まず規制の対象となるかどうかの判断は地盤面を基準に行い、実際に日影時間の検討を行う際には平均地盤面を基準とします。

建築物の高さが 10m を超える場合に日影規制の対象となりますが、この『10m を超えるかどうか』の判定は地盤面からの高さで判断します。

そして、10m を超えて日影規制の対象となった場合には、日影の計算や検討は平均地盤面を基準として行います。

同じ日影規制でも起点が異なるので注意が必要です。

もぐら先生

高低差が3mを超えて地盤面が複数ある場合

3mを超える高低差がある場合、領域を分けてそれぞれの地盤面からの高さを算定し、高い方の高さがその建築物の高さになります。

地盤面が複数ある場合の高さの算定

屋上部分と屋上突出物の違い

屋上部分(令2条第1項六号ロ)屋上突出物(令2条第1項六号ハ)は、どちらも゛屋上にある出っ張り゛ですが、建築基準法上の扱いが異なります。

屋上部分は水平投影面積が建築面積の1/8以下である場合に高さに算入されないのに対し、屋上突出物は水平投影面積の1/8以下かどうかに関わらず高さに算入されません。

このように、令2条第1項六号ロとハでは区別されているため、似ているようでも混同しないよう注意が必要です。

また、どのようなものが屋上部分で、どのようなものが屋上突出物なのか以下より解説していきます。

屋上部分とは?(令2条第1項六号ロ)

『階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分』の例は以下の通りです。

  • 階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓
  • 昇降機の乗降ロビー(通常の乗降に必要な規模程度のものに限る。)
  • 時計塔、教会の塔状部分
  • 高架水槽(周囲の目隠し部分を含む。)
  • キューピクル等の電気設備機器(周囲の目隠し部分を含む。)
  • クーリングタワー等の空調設備機器(周囲の目隠し部分を含む。)
  • 太陽光パネル(※他とは少し違ったルールがある)

太陽光パネルの1/8の検討は他の屋上部分とは算定方法が少し異なります。

太陽光パネルについてはこちらの記事で詳しく解説しているので併せてご覧下さい。

屋上突出物とは?(令2条第1項六号ハ)

『棟飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物』の例は以下の通りです。

  • 棟飾、防火壁の屋上突出部
  • 採光、換気窓等の立ち上がり部分
  • パイプ、ダクトスペース等の立ち上がり部分(ハト小屋)
  • 箱棟
  • 鬼瓦、装飾用工作物等(装飾塔に類する物を除く。)
  • 手摺(開放性の大きいもの。)
  • 避雷針、アンテナ等
  • 建築物と一体的な煙突

屋上部分で1/8以下は高さに不算入

『屋上部分』で水平投影面積が建築面積の1/8以下の場合、高さに算入されません。

1/8以下の算定を行うにあたり注意すべき点がありますので以下より解説していきます。

屋上部分以外の用途を含むと1/8に関係なく高さに算入

屋上部分に屋上部分以外の用途がある場合は1/8以下に関係なく高さに算入となります。

高さに算入となる塔屋部分

居室や倉庫などの用途を有すると屋上部分の定義から外れるので1/8以下であっても高さに算入されます。

下階の吹抜けとなっている場合も下階の部屋に属する吹抜けですので屋上部分には分類されず高さに算入となります。

屋上面が複数ある場合

屋上面が複数ある場合は、すべての屋上面の建築面積とすべての屋上部分の水平投影面積の合計で計算を行います。

屋上面ごとの算定は行わないのでご注意下さい。

屋上面が複数ある場合の考え方

太陽光パネルがある場合

太陽光パネルの1/8の検討は他の屋上部分とは算定方法が少し異なります。

少し緩和があります。

太陽光パネルについてはこちらの記事で詳しく解説しているので併せてご覧下さい。

『高さの算定』と『階数の算定』は異なる

『高さの算定』と『階数の算定』は同じ様に屋上部分の水平投影面積が建築面積の1/8以下以下かどうかで算入、不算入を判断します。

しかし、対象となるものが微妙に違います。

  • 令2条第1項六号 建築物の高さ 階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分
  • 令2条第1項八号 階数 昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分

法文上の文章も少し違います。

しかし、これを見ても何が対象か、何が対象でないのかよくわかりませんね。

わかりやすくリストにまとめると以下の通りです。

高さの算定

  • 階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓
  • 昇降機の乗降ロビー(通常の乗降に必要な規模程度のものに限る。)
  • 時計塔、教会の塔状部分
  • 高架水槽(周囲の目隠し部分を含む。)
  • キューピクル等の電気設備機器(周囲の目隠し部分を含む。)
  • クーリングタワー等の空調設備機器(周囲の目隠し部分を含む。)
  • 太陽光パネル(※他とは少し違ったルールがある)

階数の算定

  • 昇降機塔、装飾塔、物見塔
  • 屋上部分の利用のための階段室、昇降機
  • 昇降機の利用のための乗降ロビー
  • 用途上、機能上及び構造上、屋上に設けることが適当な各種機械室

建築物の『階数』の算定に関してはこちらの記事で詳しく解説しているので併せてご覧ください。

避雷針の規定は1/8以下でも緩和なし

屋上部分の水平投影面積が1/8以下で建築物の高さに算入しない場合であっても、避雷針や北側斜線などの規定を検討する上では、その屋上部分が存在するものとして計算する必要があります。

落雷は自然現象であり、水平投影面積が1/8以下であることを理由に落雷の危険性が低減するわけではありません。自然現象は待ったなしです。

また、道路斜線や隣地斜線は12mを限度に、低層住居専用地域系や日影規制は5mを限度に高さに不算入となります。

表にまとめると以下の通りです。

高さ制限の種類高さに算入しない屋上部分
道路斜線12mまで
隣地斜線12mまで
北側斜線、高度斜線緩和なし
避雷設備の設置緩和なし(屋上部分を含めて20mを超えれば避雷針を設置する)
第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
田園住居地域 内の絶対高さ
5mまで
日影規制5mまで

5m、12mまでというのは、下図の通りその高さを超えた分は建築物の高さに算入されるという意味です。

屋上部分が5m、12mを超える場合

まとめ

  • 建築基準法における『建築物の高さ』は原則として地盤面を起点として計測される。
  • 道路斜線については道路中心高さが起点となる。
  • 日影規制に関しては要否の判定は地盤面、日影時間の計算は平均地盤面、と異なるので注意。
  • 屋上部分は以下の通り
    • 階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓
    • 昇降機の乗降ロビー(通常の乗降に必要な規模程度のものに限る。)
    • 時計塔、教会の塔状部分
    • 高架水槽(周囲の目隠し部分を含む。)
    • キューピクル等の電気設備機器(周囲の目隠し部分を含む。)
    • クーリングタワー等の空調設備機器(周囲の目隠し部分を含む。)
  • 屋上突出物は以下の通り
    • 棟飾、防火壁の屋上突出部
    • 採光、換気窓等の立ち上がり部分
    • パイプ、ダクトスペース等の立ち上がり部分(ハト小屋)
    • 箱棟
    • 鬼瓦、装飾用工作物等(装飾塔に類する物を除く。)
    • 手摺(開放性の大きいもの。)
    • 避雷針、アンテナ等
    • 建築物と一体的な煙突
  • 屋上部分以外の用途(居室、倉庫、吹抜けなど)があると高さに算入となる。
  • 屋上面が複数ある場合は全体で検討する。(屋上面ごとの検討は行わない)
  • 太陽光パネルは考え方が少し違う。(緩和がある)
  • 『高さの算定』と『階数の算定』は屋上部分の種類が異なる。
  • 避雷針、北側斜線などには1/8以下の緩和はない。

本記事の作成にあたり参考にした条文、書籍等

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