
・軒高ってどこの高さ?
・軒高の法規制は何?
・片流れ、陸屋根、カーポートの軒高はどこの位置?
今回の記事は建築物の『軒高』です。
軒高は建築基準法上の日影規制などにおいて、判断の分かれ目となる要素です。
片流れ屋根・陸屋根・カーポートなど、屋根形状により、どこを「軒」とみなして軒高を測るべきかは、実務者でも迷いやすいポイントです。
また、軒高そのものが直接規制されるケースは限られるものの、軒高の取り方次第で建物全体のボリュームが変わるため、設計初期段階から正確に押さえておく必要があります。
本記事では、建築士が実務で判断に迷いがちな「軒高」の考え方を整理し、屋根形状ごとの測定位置の違いを解説します。

まずは法文をチェック
建築基準法法令集 2026年版(令和8年版)より抜粋法文を見てみよう
建築基準法施行令
(面積、高さ等の算定方法)
第2条 次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、当該各号に定めるところによる。一~六 略
七 軒の高さ 地盤面(第130 条の12 第一号イの場合には、前面道路の路面の中心)から建築物の小屋組又はこれに代わる横架材を支持する壁、敷桁又は柱の上端までの高さによる。
八 略
2~4 略
軒の高さとは?どこの位置?
軒の高さは、地盤面から建築物の小屋組又はこれに代わる横架材を支持する壁、敷げた、又は柱の上端までの高さです。
片流れの場合は、原則として高い方の軒の高さとなります。
ただし、屋根が小屋組みで形成されている場合はそれを支持する壁、敷桁又は柱の上端までとなります。
基準総則集団規定の適用事例 より引用
また、前面道路からの後退距離の算定において除かれる物置等(令第130条の12第1号イ物置等の軒の高さの算定)の場合においては、前面道路の中心からの高さです。
建築物の軒の高さで一番高い部分が『最高軒高』となり、その最高軒高により建築基準法上の様々な規制や緩和が適用されます。
最高軒高による建築基準法の規制
最高軒高により建築基準法の制限や緩和が適用される規定は下記の通りです。
| 対象建築物 | 制限、緩和 | 備考 |
|---|---|---|
| 組積造の建築物 | 軒高が9mを超えるものは補強基準が適用される | 鉄筋などで補強し、構造計算によって安全を確認したものは適用除外される。 |
| 第1種低層住居専用住宅、第2種低層住居専用住宅、田園住居地域内の建築物 | 日影規制を受ける地域では軒高が7mを超えるものは制限の対象となる | 地方公共団体の条例で日影規制がかかる場合。 |
| 第1種低層住居専用住宅、第2種低層住居専用住宅、田園住居地域内で外壁の後退距離が定められている地域内にある物置などの建築物 | 2.3m以下の軒高のものは外壁の後退距離免除 | 床面積5㎡以内の部分に限る。 |
| 都市計画区域内の建築物 | 2.3m以下の軒高のものは道路斜線の緩和(後退距離) | 道路境界から1m以上後退し、令130条の12に適合する事により後退距離の緩和となる。この場合は高さの起点が地盤面からではなく道路高さから。 |
令和元年の法21条改正により、軒高が9mを超える場合に強化されていた防火規制は廃止されました。
その結果、軒高は防火上の基準から切り離され、低層住居系での「日影規制」が中心となりました。

実務における注意点
軒高の算定にあたり、実務における注意点があります。

片流れの場合は高い方の軒高
片流れの場合は、原則として高い方の軒の高さとなります。
ただし、屋根が小屋組で形成されている場合はそれを支持する軒の上端までとなります。
屋根を小屋組とする場合は、通し柱にはせず、軒高より上部は束立てとしなければなりません。

陸屋根の場合は水上の梁天端
陸屋根の場合、屋根に1/100~1/50程度の水勾配がついており水上、水下で梁の高さが異なります。
その場合、水上の梁天端が最高軒高になります。

駐輪場、カーポートなどの軒高
駐輪場やカーポートなど片持ちの屋根の場合は柱の建っている部分の横架材又は柱の天端が軒高になります。

まとめ
- 軒の高さは、地盤面から建築物の小屋組又は横架材を支持する壁、敷げた、又は柱の上端までの高さ。
- 片流れの場合は、高い方の軒の高さ。(小屋組みで形成されている場合はそれを支持する壁、敷桁又は柱の上端まで)
- 令和元年の法21条改正により、軒高が9mを超える場合に強化されていた防火規制は廃止された。
- 軒高は、低層住居系での「日影規制」が中心となった。
- 実務上の注意点
- 片流れ屋根で小屋組みで形成する場合、小屋組み部分は束立てとしてなければならない。
- 陸屋根の場合、水上の梁天端が最高軒高になる。
- 駐輪場やカーポートなど片持ちの屋根の場合は柱の建っている部分の横架材又は柱の天端が軒高になる。
本記事の作成にあたり参考にした条文、書籍等
- 建築基準法施行令 第2条(面積、高さ等の算定方法)
- 建築基準法 目からウロコの確認申請 2025年法改正対応版
- 建築申請memo2026
- 確認申請[面積・高さ]算定ガイド 第2版
- 基準総則 集団規定の適用事例

