まずは法52条と関連条文をチェック
法文を見てみよう
建築基準法
(容積率)
第52条 1~5 略
6 第1項、第2項、次項、第12 項及び第14 項、第57 条の2第3項第二号、第57 条の3第2項、第59 条第1項及び第3項、第59 条の2第1項、第60 条第1項、第60 条の2第1項及び第4項、第68 条の3第1項、第68 条の4、第68 条の5、第68 条の5の2、第68 条の5の3第1項、第68 条の5の4(第一号ロを除く。)、第68 条の5の5第1項第一号ロ、第68 条の8、第68 条
の9第1項、第86 条第3項及び第4項、第86条の2第2項及び第3項、第86 条の5第3項並びに第86 条の6第1項に規定する建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、次に掲げる建築物の部分の床面積は、算入しないものとする。一 政令で定める昇降機の昇降路の部分
二 共同住宅又は老人ホーム等の共用の廊下又は階段の用に供する部分
三 住宅又は老人ホーム等に設ける機械室その他これに類する建築物の部分(給湯設備その他の国土交通*1 省令で定める建築設備を設置するためのものであって、市街地の環境を害するおそれがないものとして国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの
建築基準法施行令
(容積率の算定の基礎となる延べ面積に昇降路の部分の床面積を算入しない昇降機)
第135 条の16 法第52 条第6項第一号の政令で定める昇降機は、エレベーターとする。
建築基準法施行令
(適用の範囲)
第129 条の3 この節の規定は、建築物に設ける次に掲げる昇降機に適用する。一 人又は人及び物を運搬する昇降機(次号に掲げるものを除く。)並びに物を運搬するための昇降機でかごの水平投影面積が1㎡を超え、又は天井の高さが1.2 mを超えるもの(以下「エレベーター」という。)
二 エスカレーター
三 物を運搬するための昇降機で、かごの水平投影面積が1㎡以下で、かつ、天井の高さが1.2m以下のもの(以下「小荷物専用昇降機」という。)
建築基準法、建築基準法施行令より引用
分かりやすくマーキングしました。
最新の法令集については下記の記事をご覧ください。
容積緩和できるエレベーター(昇降機)の種類
エレベーター(昇降機)の容積緩和は条文があちこち飛んで少し複雑なので整理して解説します。
エレベーター(昇降機)の容積緩和は法52条第6項一号に記載されています。
法52条第6項一号の『政令で定める昇降機』とは令135条の16により『エレベーター』と定義されています。
『エレベーター』は令129条の3第1項一号で下記の3つに定義されています。
容積緩和できる昇降機
- 人を運搬する昇降機(乗用エレベーター、寝台用エレベーター、ホームエレベーターなど)
- 人及び物を運搬する昇降機(人荷用エレベーター)
- 物を運搬する昇降機(荷物用エレベーター、自動車運搬用エレベーターなど)
この3種類のエレベーター(昇降機)は容積緩和の対象です。
容積緩和できない昇降機
一方、令129条の3第1項二号、三号のエスカレーター、小荷物専用昇降機は容積緩和とはなりません。
また、段差解消機、いす式階段昇降機なども容積緩和とはなりません。
エレベーター(昇降機)の容積緩和はいつから?
エレベーター(昇降機)の容積緩和の規定が施行されたのは平成26年7月1日です。
平成26年の施行前はエレベーター(昇降機)は容積対象面積として扱われていました。
緩和の方向の改正ですのでエレベーター(昇降機)の容積率に対して既存不適格とはなりません。
法改正遍歴、既存不適格を調べるには令和改訂版 建築確認申請条文改正経過スーパーチェックシートが非常に役立ちます。
まとめ
- エレベーター(昇降機)の容積緩和は法52条第6項一号
- 政令で定める昇降機は『エレベーター』(令135条の16)
- エレベーターとは
- 人を運搬する昇降機(乗用エレベーター、寝台用エレベーター、ホームエレベーターなど)
- 人及び物を運搬する昇降機(人荷用エレベーター)
- 物を運搬する昇降機(荷物用エレベーター、自動車運搬用エレベーターなど)
- エスカレーター、小荷物専用昇降機、段差解消機、いす式階段昇降機は容積緩和にならない。
- エレベーター(昇降機)の容積緩和の規定が施行されたのは平成26年7月1日