
・中間検査の制度はいつから始まったの?
・特定工程と後続工程って何?
・中間検査ではどんな内容を検査するの?
今回の記事では、みなさんが気になっている「中間検査」についての疑問にお答えしていきます。
制度がいつ始まったのかという背景から、特定工程と後続工程の意味、そして実際の検査ではどんな点がチェックされるのかまで、できるだけわかりやすく整理してみました。
読み進めていただければ、中間検査の流れやポイントが自然と理解できるようになります。
建築に携わる方はもちろん、制度を知っておきたい方にも役立つ内容になっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。

まずは中間検査にかかわる規定(法7条の3、令11条、令12条)をチェック
建築基準法法令集 2025年版(令和7年版)より抜粋法文を見てみよう
建築基準法
(建築物に関する中間検査)
第7条の3 建築主は、第6条第1項の規定による工事が次の各号のいずれかに該当する工程(以下「特定工程」という。)を含む場合において、当該特定工程に係る工事を終えたときは、その都度、国土交通省令で定めるところにより、建築主事等の検査を申請しなければならない。
一 階数が3以上である共同住宅の床及びはりに鉄筋を配置する工事の工程のうち政令で定める工程
二 前号に掲げるもののほか、特定行政庁が、その地方の建築物の建築の動向又は工事に関する状況その他の事情を勘案して、区域、期間又は建築物の構造、用途若しくは規模を限って指定する工程2 前項の規定による申請は、特定工程に係る工事を終えた日から4日以内に建築主事等に到達するように、しなければならない。ただし、申請をしなかったことについて国土交通省令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
3 前項ただし書の場合における検査の申請は、その理由がやんだ日から4日以内に建築主事等に到達するように、しなければならない。4 建築主事等が第1項の規定による申請を受理した場合においては、検査実施者は、その申請を受理した日から4日以内に、当該申請に係る工事中の建築物等(建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事中の建築物及びその敷地をいう。以下この章において同じ。)について、検査前に施工された工事に係る建築物の部分及びその敷地が建築基準関係規定に適合するかどうかを検査しなければならない。
5 検査実施者は、前項の規定による検査をした場合において、工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合することを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該建築主に対して当該特定工程に係る中間検査合格証を交付しなければならない。
6 第1項第一号の政令で定める特定工程ごとに政令で定める当該特定工程後の工程及び特定行政庁が同項第二号の指定と併せて指定する特定工程後の工程(第18 条第31 項及び第35 項において「特定工程後の工程」と総称する。)に係る工事は、前項の規定による当該特定工程に係る中間検査合格証の交付を受けた後でなければ、これを施工してはならない。
7 検査実施者又は前条第1項の規定による指定を受けた者は、第4項の規定による検査において建築基準関係規定に適合することを認められた工事中の建築物等について、第7条第4項、前条第1項、第4項又は次条第1項の規定による検査をするときは、第4項の規定による検査において建築基準関係規定に適合することを認められた建築物の部分及びその敷地については、これらの規定による検査をすることを要しない。8 第1項第二号の規定による指定に関して公示その他の必要な事項は、国土交通省令で定める。
建築基準法施行令
(工事を終えたときに中間検査を申請しなければならない工程)
第11 条 法第7条の3第1項第一号の政令で定める工程は、2階の床及びこれを支持するはりに鉄筋を配置する工事の工程とする。
(中間検査合格証の交付を受けるまで施工してはならない工程)
第12 条 法第7条の3第6項の政令で定める特定工程後の工程のうち前条に規定する工程に係るものは、2階の床及びこれを支持するはりに配置された鉄筋をコンクリートその他これに類するもので覆う工事の工程とする。
中間検査制度はいつから?
平成7年に発生した阪神・淡路大震災により、建築物の安全性の確保の重要性が改めて認識され、必要に応じて施工中の検査も実施できる制度として中間検査制度が導入されました。
そして、平成11年5月1日に法7条の3が施行され中間検査制度が始まりました。
この改正により、それまで地方公共団体の建築主事だけが行っていた建築確認業務が民間にも開放され、民間の第三者機関として「指定確認検査機関」が誕生しました。
特定工程と後続工程とは?
特定工程とは、建築基準法に基づき「中間検査」を受けなければならない工事の工程のことです。
建築主はその工程を終えた時点で、建築主事や指定確認検査機関に検査を申請し、合格しなければ次の工程に進めません。
後続工程とは、建築基準法に基づく「特定工程」の後に続く工事工程であり、中間検査に合格するまで着手できない工程のことです。

建築基準法で定められている特定工程は1つのみ
建築基準法で定められている特定工程は鉄筋コンクリート造で3階建て以上の共同住宅に限られます。
その特定工程は『2階の床及びこれを支持するはりに鉄筋を配置する工事』です。(法7条第1項一号)
後続工程は『2階の床及びこれを支持するはりに配置された鉄筋をコンクリートその他これに類するもので覆う工事』です。
つまり、2階の床、梁の配筋時に中間検査を行い、検査に合格したのちにコンクリートを打設して下さい。という意味になります。
建築基準法上で全国共通に定められている特定工程は、この一つだけです。
一方で、法第7条の3第1項二号に基づき、特定行政庁が独自に指定する「特定工程」が存在します。
実務における中間検査の多くは、この特定行政庁指定の特定工程に基づいて実施されています。
法7条第1項一号で定められる特定工程
法7条第1項一号で定められる特定工程
- 対象建築物
- 鉄筋コンクリート造
- 3階建て以上の共同住宅
- 特定工程の内容
- 「2階の床及びこれを支持する梁に鉄筋を配置する工事」
- 後続工程
- 「2階の床及びこれを支持する梁に配置された鉄筋をコンクリートその他これに類するもので覆う工事」
法7条第1項二号で定められる特定工程
法7条第1項二号で定められる特定工程
- 対象建築物
- 用途や規模により特定行政庁が指定
- 特定工程の内容
- 建築物の構造ごとに特定行政庁が指定
- 後続工程
- 建築物の構造ごとに特定行政庁が指定
中間検査はどんな内容を検査する?
中間検査で検査する内容は主に「建築物の配置」と「構造」に関する項目です。
建築物の配置
方位、敷地の境界線、建築物の位置、道路の位置、幅員、土地の高低、排水設備など
構造(木造)
部位:基礎、土台、柱、梁、筋交い、床組み、小屋組みなど
項目:材料、品質、規格、寸法、種類、形状、接合状況、防腐・防蟻処理の状況、防水措置の状況、ホルムアルデヒド対策など
構造(鉄筋コンクリート造)
部位:基礎、柱、梁、床、壁など
項目:鉄筋の規格、品質、コンクリートの規格、品質、鉄筋の接手、定着長さ、配置、径、かぶり厚さなど
構造(鉄骨造)
部位:アンカーボルト、根巻き、柱脚、柱、梁、ブレース、ターンバックル、ダイヤフラム、高力ボルトなど
項目:鋼材、高力ボルトの規格、品質、本数、径、締付状態、溶接、継手、配置など
まとめ
- 平成7年に発生した阪神・淡路大震災により、中間検査制度が導入された。
- 平成11年5月1日に法7条の3が施行され中間検査制度が始まった。
- 特定工程とは「中間検査」を受けなければならない工事の工程のこと。
- 後続工程とは「特定工程」の後に続く工事工程であり、中間検査に合格するまで着手できない工程のこと。
- 建築基準法で定められている特定工程は鉄筋コンクリート造で3階建て以上の共同住宅に限られる。(法7条第1項一号)
- 実務における中間検査の多くは、特定行政庁指定の特定工程である。(法7条第1項二号)
- 中間検査では主に「建築物の配置」と「構造」検査する。
本記事作成にあたり参考にした条文、書籍等
- 建築基準法 第7条の3(建築物に関する中間検査)
- 建築基準法施行令 第11条(工事を終えたときに中間検査を申請しなければならない工程)
- 建築基準法施行令 第12条(中間検査合格証の交付を受けるまで施工してはならない工程)
- 建築確認検査制度の概要 平成31年3月14日 国土交通省住宅局建築指導課
