確認申請時に消防同意が必要って聞くけど、どういう手続きかよくわからない。
特定行政庁や確認検査機関と消防署とのやり取りなので設計者さんはどういう制度なのかよくわからないですよね。
今回の授業では消防同意の必要な建物、日数、必要な書類などを解説します。
まずは法93条をチェック
法文を見てみよう
【建築基準法第93条】
(許可又は確認に関する消防長等の同意等)
第93 条 特定行政庁、建築主事又は指定確認検査機関は、この法律の規定による許可又は確認をする場合においては、当該許可又は確認に係る建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長(消防本部を置かない市町村にあっては、市町村長。以下同じ。)又は消防署長の同意を得なければ、当該許可又は確認をすることができない。ただし、確認に係る建築物が防火地域及び準防火地域以外の区域内における住宅(長屋、共同住宅その他政令で定める住宅を除く。)である場合又は建築主事若しくは指定確認検査機関が第87 条の4において準用する第6条第1項若しくは第6条の2第1項の規定による確認をする場合においては、この限りでない。
2 消防長又は消防署長は、前項の規定によって同意を求められた場合においては、当該建築物の計画が法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定(建築主事等又は指定確認検査機関が第6条の4第1項第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕、大規模の模様替若しくは用途の変更又は同項第三号に掲げる建築物の建築について確認する場合において同意を求められたときは、同項の規定により読み替えて適用される第6条第1項の政令で定める建築基準法令の規定を除く。)で建築物の防火に関するものに違反しないものであるときは、同項第四号に係る場合にあっては、同意を求められた日から3日以内に、その他の場合にあっては、同意を求められた日から7日以内に同意を与えてその旨を当該特定行政庁、建築主事等又は指定確認検査機関に通知しなければならない。この場合において、消防長又は消防署長は、同意することができない事由があると認めるときは、これらの期限内に、その事由を当該特定行政庁、建築主事等又は指定確認検査機関に通知しなければならない。
3 第68 条の20 第1項(第68 条の22 第2項において準用する場合を含む。)の規定は、消防長又は消防署長が第1項の規定によって同意を求められた場合に行う審査について準用する。
4 建築主事又は指定確認検査機関は、第1項ただし書の場合において第6条第1項(第87 条の4において準用する場合を含む。)の規定による確認申請書を受理したとき若しくは第6条の2第1項(第87 条の4において準用する場合を含む。)の規定による確認の申請を受けたとき又は第18 条第2項若しくは第4項(これらの規定を第87 条第1項又は第87 条の4において準用する場合を含む。)の規定による通知を受けた場合においては、遅滞なく、これを当該申請又は通知に係る建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長に通知しなければならない。
5、6 略
建築基準法法令集 2025年版(令和7年版)より抜粋
分かりやすくマーキングしました。
消防同意に関する内容は法93条に記載されています。
あまり見る機会がないですよね。
消防同意が必要な建物、消防通知が必要な建物
基本的に確認申請を行う場合は消防同意が必要です。
消防同意がおりないと確認済証を発行することができません。
消防同意とは?
消防同意とは
消防同意とは当該計画が消防法に適合しているか確認し、支障が無いと認めた場合に同意されます。
消防設備が適切に設置されているか、無窓階の検討、非常用進入口、避難経路等が適切に設置されているかなどを確認します。
防火地域、準防火地域の指定がない区域内で以下の建築物は消防同意を必要としません。
- 一戸建ての住宅
- 兼用住宅(1/2かつ50㎡以内の事務所、店舗などを兼用する住宅)
長屋、共同住宅は防火地域等の指定がない場合においても消防同意が必要です。
消防同意を受ける必要のない建築物の場合、消防通知を行います。
消防通知とは?
消防通知とは
消防通知とは防火地域等の指定がない地域の住宅等の場合、消防署は同意審査は行わず建築計画の通知のみを受け取るものです。
消防同意にかかる期間、日数は?土日は含まれる?
消防同意の日数は法的に定められています。
2種類に分類され7日間同意と3日間同意とがあります。
- 法第6条第1項一~三号の建築物 7日間同意
- 法第6条第1項四号の建築物 3日間同意
となっています。
四号建築物についてはこちらの記事をご覧ください。
気になるのは7日間、3日間に土日、祝日は含まれるのかですよね。
当該日数は法文上、土日、祝日を除くなどとは書いていないので土日、祝日も含まれます。
消防署へ書類が到着した日の翌日を1日目とカウントします。
それじゃあ年末年始やゴールデンウイークなど長期休暇中はどうするの?
年末年始、ゴールデンウイークなどは消防同意を締め切ってしまいます。
当該連休の1~2週間前くらいから消防同意を依頼することはできません。
すべての期間で受け入れていたら消防署や消防署員さんはお休みを取れなくなっちゃいますからね。
スケジュールに注意
年末年始の消防締め切りは例年12月の中旬頃。
ゴールデンウイークの消防締め切りは例年4月の中旬頃。
年内に確認済証が欲しい、ゴールデンウイーク前に確認済証が欲しいという場合は12/15、4/15頃の確認申請受付がリミットになります。
スケジュールを申請先の特定行政庁、確認検査機関に事前に確認しておくようにしましょう。
消防同意に必要な提出図書は?
消防同意に提出する書類は以下のものです。
- 確認申請書(正本)
- 確認申請書(副本)
- 確認申請書(消防用)
- 消防同意調書
提出する書類は所管の消防署によって異なります。
確認申請書(消防用)や消防同意調書は必要ない場合もあります。
消防同意調書は特定行政庁のHPでダウンロードできます。
また、一般的に構造図書は提出の必要がありません。
申請先の特定行政庁、確認検査機関に必要部数を確認しておきましょう。
消防同意の電子申請
2023年に入って消防同意を電子申請で受け付ける消防署が出てきました。
今まで正、副、消防用と3部の確認申請書をプリントして準備するのは大変でしたが、省力化されます。
東京消防庁では2023年10月23日より消防同意の電子申請を開始されました。
その他の都道府県でも徐々に電子申請対応の消防署が増えてきています。
段階的に通知だけ電子申請可、4号建築物だけ電子申請可などから始める消防署も多数ある状況です。
電子申請を開始した消防署でも紙による従来の消防同意も引き続き可能ですのでご安心ください。
消防同意に係る法改正遍歴
消防同意の規定(法93条)が施行されたのは昭和25年11月23日です。
その後、昭和34年、昭和45年、昭和59年、平成11年、平成12年、平成27年に改正があり、現行の法文になっています。
重要な部分だけピックアップして紹介します。
昭和59年4月1日施行
防火地域等の指定がない一戸建ての住宅、兼用住宅は消防同意が不要となりました。
法改正遍歴、既存不適格を調べるには令和改訂版 建築確認申請条文改正経過スーパーチェックシートが非常に役立ちます。
まとめ
- 原則として確認申請時は消防同意が必要
- 防火地域等の指定がない一戸建ての住宅、兼用住宅は消防同意が不要(消防通知)
- 法6条四号建築物は3日間同意、それ以外は7日間同意
- 提出書類は消防によって異なる