令和6年7月26日に令和6年度一級建築士製図試験の課題が発表されました。
今年の課題は『大学』です。
指定確認検査機関で現役の建築基準法の審査を行っているにゃんぴーと申します。
建築基準法の専門家として、今年の製図課題に対する法規制をまとめました。
また、私が製図試験を受験した際に特に注意した点などもお知らせします。
製図試験の対策にお役立てください。
『大学』のおすすめ書籍
まず大学にはどんな所要室があってどんなゾーニングなのかイメージする事が重要です。
大学施設 (建築設計資料)には色々な大学の事例が載っていてイメージするのに参考になるかと思います。
『大学』の建築基準法上の位置づけ
大学は法別表第2の第一種低層住居専用地域に建築することができる建築物の中で学校に分類されていますので建築基準法上の用途は『学校』の中に含まれます。
法別表第2
(い) 第一種低層住居専用地域内に建築することができる建築物 一 住宅
二 住宅で事務所、店舗その他これらに類する用途を兼ねるもののうち政令で定めるもの
三 共同住宅、寄宿舎又は下宿
四 学校(大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校を除く。)、図書館その他これらに類するもの
五 神社、寺院、教会その他これらに類するもの
六 老人ホーム、保育所、福祉ホームその他これらに類するもの
七 公衆浴場(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)
第2条第6項第一号に該当する営業(以下この表において「個室付浴場業」という。)に係るものを除く。)
八 診療所
九 巡査派出所、公衆電話所その他これらに類する政令で定める公益上必要な建築物
十 前各号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く。)建築基準法法別表第2より引用
よって大学は法別表第1の(3)の分類となり、法6条第1項一号に掲げる特殊建築物となります。
また、大学の一部に設けられるレストラン、食堂、カフェなどは飲食店に該当する可能性があります。
大学の一部に設けられる多目的ホールなどは集会場に該当する可能性があります。
『大学』にかかる建築基準法の規定まとめ
前提条件
今回、一級建築士製図試験の過去の出題からゾーニングタイプにおいては、RC造、3階建て、2500㎡~3000㎡程度の大学を想定して、かかる規定を列記します。
基準階タイプについては、RC造、7階建て、3000㎡~3500㎡程度の大学を想定してかかる規定を列記します。
年度 | 課題名 | 階数 | 面積 | タイプ |
---|---|---|---|---|
令和5年 | 図書館 | 3 | 2917㎡ | ゾーニング |
令和4年 | 事務所ビル | 6、7 | 3341㎡ | 基準階 |
令和3年 | 集合住宅 | 5 | 2549㎡ | 基準階 |
令和2年 | 高齢者介護施設 | 3 | 2705㎡ | ゾーニング |
令和元年 | 美術館の分館 | 3 | 2087㎡ | ゾーニング |
平成30年 | 健康づくりのためのスポーツ施設 | 3 | 2509㎡ | ゾーニング |
平成29年 | 小規模なリゾートホテル | 2 | 2649㎡ | ゾーニング |
平成28年 | 子ども・子育て支援センター | 3 | 2116㎡ | ゾーニング |
平成27年 | 市街地に建つデイサービス付き高齢者施設 | 5 | 2957㎡ | 基準階 |
平成26年 | 温浴施設のある「道の駅」 | 2 | 1988㎡ | ゾーニング |
※面積は標準解答例1と2の平均値
延焼のおそれのある部分(法2条第1項六号)
隣地境界線、道路中心線から1階にあっては3m、2階以上の階にあっては5mの延焼ラインが発生します。
延焼ラインの記載漏れに注意です。
緩和として防火上有効な公園、広場、川その他の空地からは延焼ラインが発生しません。
線路敷についても上記と同様に延焼ラインは発生しません。(駅舎がある場合は発生する)
公共の用に供する水路や緑道については道路と同じで中心線から延焼ラインが発生します。
建築基準法第2条第1項六号に記載されているのは『公園、広場、川』だけです。
線路敷、公共の水路・緑道について基準法には記載されていませんが、建築物の防火避難規定の解説 2023に取扱いが掲載されています。
詳しくはそちらもご覧ください。
大学において、キャンパス内の並木道などは公共の緑道ではないので隣地境界線から延焼ラインが発生します。ご注意ください。
耐火建築物としなければならない建築物(法27条)
3階以上の階に大学の用途があるため、耐火建築物とする必要があります。
RC造であれば自然と主要構造部(柱、梁、外壁、床、屋根、階段)が耐火構造となり耐火建築物となります。
延焼ライン内の開口部は防火設備とする必要がありますので記載漏れに注意ください。
延焼ライン内の防火設備の記載漏れにも注意ですよ。
居室の採光、換気(法28条、令19条)
大学の教室には1/10以上の採光が必要となります。
令第19条3項の表
居室の種類 割合 (1) 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校又は幼保連携型認定こども園の教室 1/5 (2) 前項第一号に掲げる居室 1/5 (3) 住宅の居住のための居室 1/7 (4) 病院又は診療所の病室 1/7 (5) 寄宿舎の寝室又は下宿の宿泊室 1/7 (6) 前項第三号及び第四号に掲げる居室 1/7 (7) ⑴の項に掲げる学校以外の学校の教室 1/10 (8) 前項第五号に掲げる居室 1/10 建築基準法施行令より引用
教室以外の居室については、採光無窓かどうかの検討が必要になります。
採光無窓の居室は
- 非常用照明の設置が必要
- 歩行距離が短くなる
- 敷地内通路が必要
採光無窓の場合、上記の様な規定が強化されます。
製図試験において主たる居室は外壁面に接して設けるので採光無窓となる事はほとんどないかと思います。
エスキスの関係上、小さめな居室はうっかり無窓居室となる場合もあります。
非常用照明、敷地内通路の設置は無窓居室でなくても必要なので特に変わりありません。
問題は歩行距離が50m→30m(内装準不燃で40m)で重複距離が20m以内となります。
重複距離20m以内は特に注意です。
廊下幅員(法35条、令119条)
居室の床面積が200㎡を超える階には両側居室で1.6m以上、片側居室で1.2m以上の廊下幅員が必要となります。
また、バリアフリー法により1.2m、1.8mの廊下幅員が必要となります。
廊下幅員 | 両側居室 | 片側居室 |
---|---|---|
建築基準法 | 1.6m以上 | 1.2m以上 |
建築物移動等円滑化基準 | 1.2m以上 | 1.2m以上 |
建築物移動等円滑化誘導基準 | 1.8m以上 | 1.8m以上 |
製図試験においては柱のでっぱりを考慮して
1.2m以上必要な場合→2.0mスパン
1.6m以上必要な場合→2.5mスパン
1.8m以上必要な場合→3.0mスパン
とする事で有効寸法が確保できます。
歩行距離、重複距離(法35条、令120条)
大学の歩行距離は50m以内(内装準不燃で60m以内)、重複距離は25m(30m)以内となります。
採光無窓の居室は各距離が短くなるので注意が必要です。
プラン上、どうしても重複距離が取れない場合は『避難上有効なバルコニー』を設置することで回避することも可能です。
製図試験は時間がシビアなので普段起こらないことが起きるとパニックになってしまいます。
重複距離が取れずに部屋割りを考え直す時間はありません。
冷静に対処できるよう回避方法を頭に入れておきましょう。
一級建築士製図試験における歩行距離、重複距離の記載方法、注意点をまとめましたので下記の記事もぜひご覧ください。
2以上の直通階段の設置(法35条、令121条)
大学は用途としては2以上の直通階段は求められません。
5階以下の階で居室の床面積が2階は400㎡、3階は200㎡を超えることにより2以上の直通階段が必要となります。
製図試験においては上記の規模を超えますので2以上の直通階段が必要となります。
2以上の直通階段は文字通り『直通』する必要がありますので3階から1階まで直通するように設置して下さい。
3階~2階の階段と2階~1階の階段の位置がズレたり、階段の途中に扉を設けたりすると直通階段になりません。
階段の位置がズレていると1発不合格です。
わたしはエスキスで階段の位置決めが苦手でした。
1階のプランができて、2階のプランを考える時、階段の位置がうまく納まらない…という事が多々ありました。
まずはざっくり大きい部屋と階段の位置、廊下の動線を決めてからエスキスに入りましょう。
避難階段の設置(法35条、令122条、令123条)
避難階段は5階以上、地下2階以下の階がある場合に設置が必要となります。
ゾーニングタイプの場合は上記に該当しないので避難階段の設置は不要です。
基準階タイプの場合は5階以上となると、避難階段の設置が必要です。
また、階段が2つある場合はどちらも避難階段にする必要があります。
避難階段には下記の3つの種類があります。
- 屋内避難階段(令123条第1項)
- 屋外避難階段(令123条第2項)
- 特別避難階段(令123条第3項)
過去の標準解答例では屋内避難階段、屋外避難階段と思われるものが設置されていましたのでその2点について解説します。
屋内避難階段(令123条第1項)
法文を見てみよう
(避難階段及び特別避難階段の構造)
第123 条 屋内に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。一 階段室は、第四号の開口部、第五号の窓又は第六号の出入口の部分を除き、耐火構造の壁で囲むこと。
二 階段室の天井(天井のない場合にあっては、屋根。第3項第四号において同じ。)及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。三 階段室には、窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設けること。
四 階段室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々1㎡以内で、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室以外の当該建築物の部分に設けた開口部並びに階段室以外の当該建築物の壁及び屋根(耐火構造の壁及び屋根を除く。)から90㎝以上の距離に設けること。ただし、第112 条第16 項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
五 階段室の屋内に面する壁に窓を設ける場合においては、その面積は、各々1㎡以内とし、かつ、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものを設けること。
六 階段に通ずる出入口には、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で第112 条第19 項第二号に規定する構造であるものを設けること。この場合において、直接手で開くことができ、かつ、自動的に閉鎖する戸又は戸の部分は、避難の方向に開くことができるものとすること。
七 階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること。
屋内避難階段について製図試験で注意すべき点は一号の『耐火構造の壁で囲むこと』という点です。
屋内避難階段の場合は階段にシャッターを設けられないのでご注意ください。
屋外避難階段(令123条第2項)
法文を見てみよう
(避難階段及び特別避難階段の構造)
第123 条2 屋外に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。
一 階段は、その階段に通ずる出入口以外の開口部(開口面積が各々1㎡以内で、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)から2m以上の距離に設けること。
二 屋内から階段に通ずる出入口には、前項第六号の防火設備を設けること。
三 階段は、耐火構造とし、地上まで直通すること。
屋外避難階段について製図試験で注意すべき点は一号です。
階段の出入口、1㎡以内のFIX以外は屋外避難階段の2m範囲内に設けられないという点です。
また、階段の出入口の扉は防火設備にする必要があります。
排煙設備(法35条、令126条の2、令126条の3)
大学は令126条の2第1項二号の学校等にあたるため排煙設備の設置は不要となります。
排煙設備とは
- 自然排煙設備
- 機械排煙設備
非常用の照明装置(法35条、令126条の4、令126条の5)
- 法別表第一(い)欄(1)項~(4)項に掲げる特殊建築物の居室
- 階数が3以上で延べ面積が500㎡を超える建築物の居室
- 採光無窓の居室
- 延べ面積が1000㎡を超える建築物の居室
には非常用照明の設置が必要となります。
大学は法別表に掲げる特殊建築物なので非常用照明の設置が必要です。
しかし、令126条の4第1項三号の学校等に当てはまるため非常用照明の設置が免除されます。
近年、学校の使われ方も多様化しており、夜間学校として使用する場合は非常用照明の設置が求められる場合もあります。
非常用の進入口(法35条、令126条の6、令126条の7)
3階以上の階には非常用進入口または代替進入口を設置する必要があります。
製図試験においては代替進入口を設置されることが多いかと思います。
道路に面する外壁面に10m以内ごとに設置しましょう。
サイズは幅750×高さ1200以上が必要となります。
代替進入口も記入するのを忘れることが無いようにしましょう。
敷地内通路(法35条、令128条)
大学は特殊建築物ですので敷地内通路が必要です。
主要な出入口から道路まで有効1500以上の敷地内通路を確保しましょう。
敷地内通路は必ず道路境界線に通ずる計画として下さい。
隣地に大学の敷地の並木道などがある場合、そこに通ずる敷地内通路でよいと勘違いしないでくださいね。
(公園、広場に通じてもOKですが、道路に通ずる敷地内通路を確保しましょう。)
敷地内通路の詳しい内容はこちらの記事もご覧ください。
特殊建築物等の内装(法35条の2、令128条の4、令128条の5)
大学は用途による内装制限の規制はありません。
3階以上500㎡以上で内装制限がかかります。
しかし、令128条の4第2項の学校等には当てはまるため免除されます。
階段(法36条、令23条)
大学は用途による階段寸法の規定はありません。
直上階の居室の面積が200㎡を超える場合に以下の寸法が必要となります。
- 幅 120cm以上(屋外階段は90cm以上)
- 蹴上 20cm以下
- 踏面 24cm以上
手すりの記載を忘れがちです。
忘れないように注意してください。
また、200㎡を超える多目的ホールなどの要求室がある場合、「集会場」となり、客用の階段は以下の寸法となる可能性があります。
- 幅 140cm以上(屋外階段は90cm以上)
- 蹴上 18cm以下
- 踏面 26cm以上
スポンサーリンク
7/31までのお申込みで一級建築士製図対策コース
55,000円が49,500円に
スキマ時間にパソコン、タブレット、スマホで勉強できるオンライン講座
防火区画(法36条、令112条)
面積区画(令112条1~6項)
耐火建築物なので1500㎡以内ごとに面積区画が必要です。
面積区画は耐火構造の壁、床で区画、開口部は常時閉鎖式又は随時閉鎖式の特定防火設備での区画となります。
製図試験においては常時閉鎖式などの閉鎖性能は要求されませんので○特と記載すればOKです。
面積区画についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
竪穴区画(令112条11項)
3階以上の階に居室を有する耐火建築物には竪穴区画が必要です。
階段、EV、吹抜けとその他の部分を耐火構造の壁、床で区画、開口部は常時閉鎖式又は随時閉鎖式の遮煙性能付きの防火設備での区画となります。
令112条11項一号のただし書きにより避難階の直上階のみに通ずる階段、吹抜けは内装を不燃とする事で竪穴区画を免除することが可能です。
こちらも製図試験においては○防で良いのですが、面積区画を兼ねる場合は○特になるのでご注意ください。
竪穴区画についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
スパンドレル(令112条16項)
面積区画、高層区画、竪穴区画にはスパンドレルが必要です。
製図試験においては、吹抜けを計画した場合にスパンドレルが必要となる場合があります。
令和5年の標準解答例を見てみると、吹抜けがあり、外壁の部分にはしっかり1000mmの壁が設置されています。
北側のスパンドレル部には柱にほんのちょっと壁を設置し900mm以上の壁を設けている様です。
意識しないと漏れてしまう事が多いので注意が必要です。
スパンドレルについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
異種用途区画(令112条18項)
3階以上の階に大学の用途があるので大学とその他の部分に異種用途区画が必要です。
1階に駐車場などを設ける場合には大学の部分と駐車場の部分を異種用途区画して下さい。
また、200㎡を超える多目的ホールなどの要求室がある場合、その部分は「集会場」となりうるので異種用途区画が必要となる可能性があります。
レストラン、カフェなどがある場合も異種用途区画が必要となる可能性がありますのでご注意ください。
異種用途区画は耐火構造の壁、床で区画、開口部は常時閉鎖式又は随時閉鎖式の遮煙性能付きの特定防火設備での区画となります。
こちらも○特と記載すればOKです。
異種用途区画、防火区画に用いる防火設備の種類はこちらの記事をご覧ください。
用途地域等(法48条)
大学の用途規制は以下の通りです。
建築可
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
建築不可
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 田園住居地域
- 工業地域
- 工業専用地域
容積率(法52条)
容積率は指定容積率と道路幅員によって求める容積率のうち、小さい方が採用されます。
製図試験においては2面道路で8m程度の前面道路となることが多いのでほとんどの場合、指定容積率となります。
大学で容積緩和となるのは昇降機と駐車場・駐輪場などです。
昇降機については容積緩和できる昇降機とできない昇降機があるので注意ください。
容積緩和できる昇降機
- 乗用エレベーター
- 人荷用エレベーター
- 荷物用エレベーター
容積緩和できない昇降機
- 小荷物専用昇降機
- エスカレーター
- 段差解消機
自動車車庫、駐輪場の容積緩和は延べ面積の1/5までです。
建蔽率(法53条)
耐火建築物として設計されるので防火地域、準防火地域であれば指定建蔽率に+10%となります。
角地の場合も指定建蔽率に+10%となります。
建築物の各部分の高さ(法56条)
道路斜線(法56条第1項第一号)
道路斜線は用途地域により以下の通りとなります。
住居系 対面の道路境界線までの水平距離×1.25
工業系、商業系 対面の道路境界線までの水平距離×1.5
道路斜線についてはエスキスの際、建物配置、3階の形状を意識しておく必要があります。
後退緩和を使う場合は令130条の12に適合するようにして下さい。
1.2mを超える塀などを設置できません。
隣地斜線(法56条第1項第二号)
隣地斜線は用途地域により以下の通りとなります。
住居系 隣地境界線から建築物までの水平距離×1.25+20m
(第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域)
商業系、工業系 隣地境界線から建築物までの水平距離×2.5+31m
(近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域)
過去の標準解答例を見るとゾーニングタイプでは屋上設備を含めて15~18m程度
基準階タイプだと20~30m程度となっています。
基準階タイプの場合、住居系の隣地斜線がかかってくるのでご注意ください。
北側斜線(法56条第1項第三号)
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域の場合は北側斜線がかかります。
低層系 北側隣地までの水平距離×1.25+5m
(第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域)
中高層系 北側隣地までの水平距離×1.25+10m
(第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域)
大学は第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域には建築できないので、今回は『低層系』の北側斜線が出題されることはありません。
日影規制(法56条の2)
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域では軒高が7mを超える場合
その他の用途地域では最高高さが10mを超える場合に日影規制がかかります。
製図試験においては日影規制の書き込みは無いかと思いますので上記の規模でかかることだけ頭に入れておきましょう。
おすすめ記事
一級建築士製図対策のおすすめ書籍4選
まとめ
『大学』にかかる建築基準法をまとめてみました。
長い記事ですがここまでご覧いただき、ありがとうございました。
- 郊外に建つキャンパス型のゾーニングタイプか?
- 都市部に建つビル型の基準階タイプか?
どちらが出題されるのでしょうか?
一級建築士製図試験はエスキス力、作図力など色々な要素が求められ、さらにそのプランは建築基準法に適合していなければなりません。
建築法規について今一度ご確認いただき、試験に備えて下さい。
製図試験の専門家ではないので見当違いな事を言っている部分もあるかもしれませんが、少しでも受験生のお役に立てれば幸いです。
あなたの努力が報われてクリスマス(合格発表日)に朗報が届く事をお祈りしています。