確認申請の解説

検査済証とは?検済がない理由、無い場合の対処法や法改正遍歴などを詳しく解説

にゃんぴー

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検査済証の解説

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検査済証とはどういったものか?古い建物にはなぜ検査済証がない事が多いのか?

検査済証がない場合に増改築を行いたい場合はどうすればよいのか?など詳しく解説します。

また、質問の多い項目についてQ&A方式で解説します。

もぐら先生
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まずは法7条をチェック

法文を見てみよう

【建築基準法第7条、第7条の2、第7条の6】

(建築物に関する完了検査)
第7条 建築主は、第6条第1項の規定による工事を完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、建築主事等の検査(建築副主事の検査にあっては、大規模建築物以外の建築物に係るものに限る。第7条の3第1項において同じ。)を申請しなければならない。

2~4 略 

 検査実施者は、前項の規定による検査をした場合において、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該建築物の建築主に対して検査済証を交付しなければならない。

(国土交通大臣等の指定を受けた者による完了検査)
第7条の2 第77 条の18 から第77 条の21 までの規定の定めるところにより国土交通大臣又は都道府県知事が指定した者が、第6条第1項の規定による工事の完了の日から4日が経過する日までに、当該工事に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかの検査を引き受けた場合において、当該検査の引受けに係る工事が完了したときについては、前条第1項から第3項までの規定は、適用しない。

2~4 略

 第1項の規定による指定を受けた者は、同項の検査をした建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該建築物の建築主に対して検査済証を交付しなければならない。この場合において、当該検査済証は、前条第5項の検査済証とみなす。

6~7 略

(検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限)
第7条の6 第6条第1項第一号から第三号までの建築物を新築する場合又はこれらの建築物(共同住宅以外の住宅及び居室を有しない建築物を除く。)の増築、改築、移転、大規模の修繕若しくは大規模の模様替の工事で、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラーその他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置、非常用の昇降機若しくは防火区画で 政令で定めるものに関する工事( 政令で定める軽易な工事を除く。以下この項、第18条第38 項及び第90 条の3において「避難施設等に関する工事」という。)を含むものをする場合においては、当該建築物の建築主は、第7条第5項の検査済証の交付を受けた後でなければ、当該新築に係る建築物又は当該避難施設等に関する工事に係る建築物若しくは建築物の部分を使用し、又は使用させてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。

 特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたとき。

 建築主事等(当該建築物又は建築物の部分が大規模建築物又はその部分に該当する場合にあっては、建築主事)又は第7条の2第1項の規定による指定を受けた者が、安全上、防火上及び避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたとき。

 第7条第1項の規定による申請が受理された日(第7条の2第1項の規定による指定を受けた者が同項の規定による検査の引受けを行った場合にあっては、当該検査の引受けに係る工事が完了した日又は当該検査の引受けを行った日のいずれか遅い日)から7日を経過したとき。

2~4 略

建築基準法法令集 2025年版(令和7年版)より抜粋

重要な部分にマーキングしました。

もぐら先生

第7条の6の色分けについて

青文字・・・四号建築物の新築を示します。

赤文字・・・増築、改築、移転、大規模の修繕、大規模の模様替を行う建築物で避難規定がかからない部分を示します。

緑文字・・・仮使用認定を受けた建築物を示します。

記事後半の『検査済証についてのケーススタディ』をご覧ください。

四号建築物の詳しい記事はこちらを参照ください。

検査済証とは?

工事が完了したら建築主事等の完了検査を受検し建築基準法関係規定に適合していることが確認できた場合に検査済証が交付されます。

検査済証が交付されると建築物の使用制限が解除され建築物を使用することができるようになります。

四号建築物などは検査済証交付前でも建築物を使用することができますが検査済証を取得しなくて良いわけではありません。

また、先に使用開始して家具などが配置されてしまうと完了検査の支障となりますので、使用開始前に完了検査を行うのが一般的です。

検査済証は登記、融資、将来の増改築などに必要となりますので必ず取得しましょう。

もぐら先生

古い建物には検査済証がない理由、義務化されたのはいつから?

完了検査、検査済証が義務化されたのはいつから?という質問をたまに受けます。

ズバリ、答えは昭和25年11月23日。

建築基準法が施行されたのが同年月日ですので、完了検査、検査済証の規定は最初から存在していました。

ある年から法改正で突然必要になったわけではないのです。

ではなぜ古い建物は検査済証を取得していないものが多いのでしょうか?

昔は検査済証がなくても登記もできたし、融資を受けることも可能でした。

また完了検査を受検しないことに対する行政指導もほとんどありませんでした。

そのため建築主にとってあまりメリットもないし、受検しなければならないという意識が低かったようです。

平成20年頃からは完了検査の受検率は90%以上となっていますが、平成10年では40%以下でした。

そのため古い建物のには検査済証がないことが多いのです。

そして現在、古い建物のオーナーが困っています。

そう、検査済証がないと増築、用途変更などの既存改修が出来ないからです。

もぐら先生

検査済証がない場合、法適合はどう調べる?

では、検査済証がないと増改築等がまったくできないのでしょうか?建替えるしかないのでしょうか?

そんなことはありません。諦めないでください。

国も脱炭素社会実現のため既存の建物を再利用することを推奨しています。

その一環として国土交通省が平成26年7月に「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」を公表しました。

通称「ガイドライン調査」などと呼ばれています。

ガイドライン調査を行える確認検査機関は、調査者として届出を行った機関で現在38機関あります。

それとは別に法12条5項報告という方法もあります。

本来、法12条5項は特定行政庁が建築主、設計者、指定確認検査機関などに不明な点の報告を求めることができるという制度ですが、その制度を逆に利用し設計者等が12条5項の報告を自ら行い、受理されれば特定行政庁も容認したものと解釈する方法です。

ガイドライン調査又は法12条5項報告により、既存建物の適合性の確認が取れた場合に増改築等ができるようになります。

ガイドライン調査の概要、特徴

  • 提出先はガイドライン調査ができる指定確認検査機関
  • 調査費用は有料(かなり高い)
  • 設計者の作業は主に資料を揃える事
  • 調査の報告書は主に確認検査機関が作成する
  • その後、増改築等を行う場合は同じ確認検査機関に確認申請も提出する事が前提である
  • 違反(不適合個所)が見つかった場合は活用できないケースがある

法12条5項報告の概要、特徴

  • 提出先は特定行政庁
  • 費用はかからない
  • 設計者が全ての作業を行う必要があり作業量が膨大
  • 法12条5項の受理を行うかどうかは特定行政庁により判断が分かれる
  • 違反(不適合個所)が見つかった場合に活用されるケースが多い

ガイドライン調査も法12条5項報告も増改築が可能となるだけで検査済証とみなされるものではありません。

もぐら先生

検査済証についてのケーススタディ

検査済証は再発行できる?

検査済証の再発行はできません。

検査済証を受けたか否かは記載事項証明書で調べることができます。

記載事項証明書は建設地の特定行政庁で発行できます。

もぐら先生

検査済証が交付される前に使用可能な建築物とは?

  • 四号建築物
  • 増築、改築、移転、大規模の修繕、大規模の模様替を行う建築物で避難規定がかからない部分
  • 仮使用認定を受けた建築物

上記の建築物、部分は検査済証が交付される前に使用することが可能です。

もぐら先生

テナント貸のスケルトンでも検査済証は貰える?

建築基準法上スケルトンという概念がありません。

スケルトン状態が完成状態ととらえ完了検査を行い、合格となれば検査済証は交付されます。

もぐら先生

検査済証についての法改正遍歴

検査済証の規定(法7条、法7条の6)が施行されたのは昭和25年11月23日です。

法第7条はその後、昭和34年、昭和52年、昭和59年、平成11年、平成12年、平成13年、平成19年に改正があり

法第7条の6はその後、昭和52年、昭和59年、平成11年、平成13年、平成19年、平成27年に改正があり、現行の法文になっています。

重要な部分だけピックアップして紹介します。

平成11年5月1日施行

 確認、検査業務が民間に開放され、確認検査機関の検査を受けることが可能になりました。

また、施行当時は法7条に記載されていた『検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限』の規定が法7条の6に移りました。

法改正遍歴、既存不適格を調べるには令和改訂版 建築確認申請条文改正経過スーパーチェックシートが非常に役立ちます。

まとめ

  • 検査済証が交付されると建築物の使用が可能となる。
  • 四号建築物など検査済証交付前に使用できる建築物もある検査済証の取得は必要。
  • 検査済証は建築基準法施行当時から取得する必要があった。
  • 検査済証が無い場合、ガイドライン調査、法12条5項報告を行うことで増改築が可能となる。
  • ガイドライン調査の報告書、法12条5項報告は検査済証に変わるものではない。

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