令和7年(2025年)4月1日に四号特例の縮小、省エネ適合の義務化により確認申請書、建築計画概要書の書式が変更されます。
今回の記事ではどんな変更なのか?改正内容の簡単な解説と新様式の内容、書き方、記載例を交えて解説します。
確認申請書、建築計画概要書がどう変わる?
確認申請書、建築計画概要書の変更箇所は以下の通りです。
- 確認申請書 第二面8欄(書式に変更は無し、記載方法が変わります)
- 確認申請書 第三面18欄(これに伴い建築計画概要書 第二面20欄も同じく変わります)
- 確認申請書 第四面11欄
ひとつひとつ解説していきますね
確認申請書 第二面8欄
確認申請書の第二面8欄に書式の変更はありませんが、注意書きが追加され、提出不要の場合の記載方法が変わりました。
また、注意書きの赤枠部分が変わりました。
書式
書式には変更なし
注意書き
注意書きの赤枠部分が変わりました。
解説、記載例
令和7年4月1日よりすべての建築物に省エネ基準への適合義務化となります。
従前は提出不要のカッコ内に提出不要となる理由(非住宅部分が300㎡未満である事)を記入していましたが、改正により300㎡の制限はなくなりますので、その記載は不要となります。
改正後は、仕様基準などにより省エネ基準に適合する場合は提出不要にチェックしカッコ内には以下の内容を記入します。
下記に該当する場合は『省エネ適合判定』が不要となります。
省エネ基準適合の評価方法等 | カッコ内の記入例 |
---|---|
仕様基準 | 第1号イに該当 |
誘導仕様基準 | 第1号ロに該当 |
設計住宅性能評価を受けた場合 | 第2号に該当 |
長期優良住宅の認定又は長期使用構造等の確認を受けた場合 | 第3号に該当 |
なお、以下のものは適用除外となり、そもそも省エネ適合義務から除かれます。
- 10㎡以下の新築、増改築
- 居室を有しないこと又は高い開放性を有する事により空気調和設備が必要ないもの
- 歴史的建造物、文化財等
- 応急仮設建築物、仮設建築物、仮設興業場等
- 新三号建築物で確認の特例を適用するもの
これらに該当する場合は提出不要にチェックを入れ、カッコ内は未記入でOKです。
『適合義務』と『適合判定』が似ていて紛らわしいのでご注意ください。
今までの説明をフローで示します。
※新三号建築物だけは少し特殊で、適合義務はありますが確認の特例により確認申請で図書の提出は求められません。そのため、申請書二面8欄の記入は■提出不要にチェックを入れ、カッコ内は空欄とします。
確認申請書 第三面18欄、建築計画概要書 第二面20欄
確認申請書の第三面18欄が追加されました。
それに伴い、既存の18欄19欄は19欄20欄にスライドしました。
概要書の第二面20欄も同様に変更となります。
書式
確認申請書の第三面18欄が追加
確認申請書と同じ内容が、建築計画概要書の第二面20欄に追加
注意書き
確認申請書 第三面関係の㉕、㉖に注意書きが追加されました
解説、記載例
令第43条第1項は壁量、令第46条第4項は柱の小径を示します。
令和7年4月1日より壁量計算、柱の小径の算定方法が変わります。詳しくは下記の記事をご覧ください。
本改正は令和7年(2025年)4月1日以降に着工の建築物に適用となりますが、1年の猶予期間が設けられています。
現在、建築材料の不足、資材の高騰などにより工期が遅れるケースも多くあります。
令和7年(2025年)4月1日以前に確認済証を取得していても着工が遅れて4月1日以降になった時に混乱が生じないように、壁量基準等のみ令和8年4月1日までの1年間は経過措置として旧基準でもよいとされます。
これを適用する場合に、【イ、適用の有無】の有にチェックを入れます。
【ロ、適用があるときは、その区分】は通常(在来軸組工法の場合)は■建築基準法施行令第43条第1項及び第46条第4項 にチェックを入れます。
枠組壁工法の場合は■その他 にチェックを入れ【その他必要な事項】欄に該当する告示番号を記入します。
確認申請書 第四面11欄
確認申請書の第四面11欄ロが追加されました。
それに伴い、既存の11欄ロ~へはハ~トにスライドしました。
書式
確認申請書の第四面11欄ロが追加
注意書き
注意書きは大きな変更がないので割愛します。
解説、記載例
新設されたロ欄はイ欄の適用がある場合に記入します。
構造計算ルート2の場合、以下のどちらかを選択することができます。
- 構造適判で適合判定を受ける
- ルート2主事を置く確認検査機関で構造の適合性も含めて確認を受ける
従前のイ欄では、❷ルート2主事を置く確認検査機関で構造の適合性も含めて確認を受ける場合に『有』にチェックを入れていました。
本改正では小規模な伝統的木造建築物等(法20条1項4号に掲げる建築物で構造一級建築士が設計、法適合確認したもの)も新たに❷を選択することが可能になりましたのでその項目が追加されました。(その場合ルート2主事ではなく構造適合判定員となる)
(従前は伝統的木造建築物の一部で仕様規定を満たせない場合は構造適判が必要でした)
イ欄
❷ルート2主事(構造適合判定員)を置く確認検査機関で構造の適合性も含めて確認を受ける場合は有にチェックを入れます。
ロ欄
ルート2の場合 → ■建築基準法第6条の3第1項第1号に掲げる確認審査又は同法第18条第4項第1号に掲げる審査 にチェック
伝統的木造建築物等の場合 → ■建築基準法第6条の3第1項第2号に掲げる確認審査又は同法第18条第4項第2号に掲げる審査 にチェック
こちらを選択した場合には構造設計一級建築士の氏名、登録番号を記入します。
まとめ
- 令和7年4月1日から確認申請書、建築計画概要書の書式が変更される。変更箇所は以下の通り
- 確認申請書 第二面8欄(書式に変更は無し、記載方法が変わります)
- 確認申請書 第三面18欄(これに伴い建築計画概要書 第二面20欄も同じく変わります)
- 確認申請書 第四面11欄
- 確認申請書 第二面8欄
- 省エネ適判の場合、■提出済み(省エネ適判機関 所在地)
- 仕様基準などの場合、■提出不要(第1号イに該当)などと記入
- 省エネ適合義務なしの場合、■提出不要( )
- 確認申請書 第三面18欄、建築計画概要書 第二面20欄
- 壁量基準を旧基準での経過措置を適用する場合に■有にチェック
- 在来軸組工法の場合は■建築基準法施行令第43条第1項及び第46条第4項にチェック
- 枠組壁工法の場合は■その他にチェック、【その他必要な事項】欄に該当する告示番号を記入
- 確認申請書の第四面11欄
- ルート2主事(構造適合判定員)を置く確認検査機関で構造の適合性も含めて確認を受ける場合にイ欄の有にチェック
- ルート2の場合 → ■建築基準法第6条の3第1項第1号に掲げる確認審査又は同法第18条第4項第1号に掲げる審査 にチェック
- 伝統的木造建築物等の場合 → ■建築基準法第6条の3第1項第2号に掲げる確認審査又は同法第18条第4項第2号に掲げる審査 にチェック、構造設計一級建築士の氏名、登録番号を記入
本記事の作成にあたり参考にした条文、書籍等
- 建築基準法別記様式 第二号様式 確認申請書(令和7年4月1日版)
- 建築基準法別記様式 第三号様式 建築計画概要書(令和7年4月1日版)
- 建築物省エネ法に基づく省エネ基準適合義務制度等に係る手続きマニュアル(令和6年10月時点版) 一般財団法人住宅・建築 SDG s推進センター
- 改正建築物省エネ法・建築基準法の3年目施行について 国土交通省