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一級、二級建築基準適合判定資格者検定とは?試験の概要、建築主事・確認検査員になるには?今年の試験の最新情報などを解説

にゃんぴー

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一級、二級建築基準適合判定資格者検定

一級、二級建築基準適合判定資格者検定とは?

建築基準適合判定資格者検定は建築基準法に基づいて建物の設計や施工が法令に適合しているかを判定する資格を持つ専門家を育成・認定するための試験です。

令和6年4月1日の法改正により、二級建築士が設計、監理できる建築物の規模を対象とした検定が新設され、一級建築基準適合判定資格者検定、二級建築基準適合判定資格者検定の二つに分類されました。

建築基準適合判定資格者検定に合格し、確認、検査を行う者は建築主事などと呼ばれますが、正式には下記の通りに分類されます。

特定行政庁の職員指定確認検査機関の職員
一級建築基準適合判定資格者建築主事確認検査員
二級建築基準適合判定資格者建築副主事副確認検査員

建築副主事についてはこちらの記事をご覧ください。

受験資格と実務経験

令和5年までの受験資格は一級建築士で実務経験が2年以上ある事でした。

令和6年からは二級の検定が追加され下記の通りとなりました。

受験資格

  • 一級建築基準適合判定資格者検定 → 一級建築士
  • 二級建築基準適合判定資格者検定 → 一級建築士、二級建築士

実務経験

さらに実務経験の有無に関わらず受験が可能になりました。

(登録は2年の実務経験の後になります。)

実務経験とは?

  • 建築審査会の委員として行う業務
  • 学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学(短期大学を除く。)の学部、専攻科又は大学院において教授又は准教授として建築に関する教育又は研究を行う業務
  • 建築物の敷地、構造及び建築設備の安全上、防火上又は衛生上の観点からする審査又は検査の業務(建築基準法第77条の18第1項の確認検査の業務を除く。)であって国土交通大臣が確認検査の業務と同等以上の知識及び能力を要すると認めたもの

ほとんどの場合が特定行政庁又は指定確認検査機関での審査、検査業務になるかと思います。

つまり今までは特定行政庁や指定確認検査機関の職員しか受験できない状況でしたが、

2年の実務経験が検定合格後でも良くなるという事は、資格取得をきっかけに特定行政庁や指定確認検査機関へ転職という流れも可能になります。

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どんな試験?

考査A、考査Bの2つの考査があります。

考査A

考査Aは建築士の法規の学科試験と同じ様な試験です。

一級の考査Aは5枝択一で17問出題されます。(1問2点で34点満点)

二級の考査Aは2枝択一(〇×問題)で50問出題されます。(1問1点で50点満点)

考査B

考査Bは記述式による問題です。

一級の考査Bは66点満点、二級は100点満点です。

配置図、平面図、立面図、断面図と建築の概要が示され、その計画が建築基準法に適合しているかどうかを審査し、記述します。

回答用紙は下記の様な形式で、適合不適合の○×、理由、根拠条文などを回答する試験です。

考査Bの回答用紙

出題項目は容積率、建蔽率、斜線制限、用途規制、採光、24H換気、防火区画、直通階段の数、避難階段の構造、内装制限、廊下幅、歩行距離、非常用照明、排煙設備などです。

その他にも設備、構造に関する項目も出題されます。

配点

一級建築基準適合判定資格者検定と二級建築基準適合判定資格者検定で配点が異なります。

合格基準点は全体の2/3以上なので一級は67点以上、二級は101点以上となります。

その年の試験の難易度により平均点が前後しますので合格基準点も数点前後します。

考査A考査B合計合格基準点
一級34点64点100点67点
二級50点100点150点101点

過去の合格率(一級)

合格率は例年30%前後です。

令和6年からは受験資格の変更や二級の検定の追加などにより受検者数の増加が予想されます。

令和元年令和2年令和3年令和4年令和5年
受検者数1108人938人933人983人890人
合格者数352人274人272人354人318人
合格率31.8%29.2%29.2%36.0%35.7%

勉強方法

令和6年度版 建築基準適合判定資格者の手引き

令和6年度版の建築基準適合判定資格者の手引きが令和6年5月15日に発売開始されました。

建築基準適合判定資格者検定を受ける上で唯一の公式のテキストとなります。

過去5年分の過去問と解答例、解説などが掲載されています。

ほとんど全ての受験生がこちらのテキストで勉強されています。

普通の書店では購入できず、ICBAのHPのみで販売されています。

購入にはICBAの一般会員(無料)になる必要があります。

講習会、模擬試験(いずれもオンデマンド講習)付のものもあります。

今年は2級用のテキストの販売は無いようです。

外部リンク

令和6年度版 建築基準適合判定資格者の手引き(一般財団法人 建築行政情報センターHP)

過去問で勉強

国土交通省のホームページに10年分の過去問が掲載されています。

ただし、回答が無いのでこれだけで勉強するのは中々困難です。

受検するかどうか迷っている方は、こちらを見てどの様な試験なのか把握する事には役立つかと思います。

資格学校、講習会

指定確認検査機関のERIが営んでいるERIアカデミーで対策講座があります。

費用は比較的高額ですが、合格率は50%を超えている様です。

また、各都道府県で講習会や模擬試験を開催している自治体もあります。

こちらは比較的安価で受講できますので開催している場合はぜひ受講される事をおすすめします。

受験の上での体験談、アドバイス

にゃんぴー

私が受験した際の体験談、アドバイスをお話しします。

考査Aについて

一級建築士試験の法規の試験とほぼ同じです。

建築士試験では法規の問題は毎年30問あり、それを過去5年分復習しようとすると150問あります。

その他の教科も勉強しなくてはならないので過去問の勉強だけでも大変な量です。

それに比べて建築基準適合判定資格者検定は毎年17問で、過去5年分だと85問となります。

学科試験に関しては法規の勉強のみ行えばよいので建築士試験に比べればかなり楽です。

内容的には一級建築士に比べて少し深い内容となりますので、過去問の一枝一枝が法令集のどこに載っているのか素早く引ける練習をしましょう。

考査Bについて

考査Bについてはとにかく時間が足りません。

ひたすら手を動かし続けなければ書き終わりません。

どう書こうか?と試験中迷っている時間はありません。

また、過去問の模範解答は丁寧に細かく説明された文章になっているので全く同じ文章を書こうとするととても時間が足りません。

そのため、省略する所は省略して自分なりの文章を作り出さなければなりません。

過去問を何度も繰り返し書く事で回答の流れを自分なりに作り出し、手を止めず素早く書くトレーニングをしましょう。

また、それには法令集のカスタマイズも重要です。

法令集のカスタマイズについて

考査Bについて、例えば『容積率』の出題だとしたら容積率に係る関係条文がどの条文なのかが、法52条(容積率)のページを開いたら関連条文にすぐに飛べるようにカスタマイズします。

私は容積率に関する関係条文には赤い付箋を付けて、赤い線でマーキング、建蔽率に関する関係条文には黄色い付箋を付けて、黄色い線でマーキングなど、項目別に色分けで分かりやすくカスタマイズしました。

どうカスタマイズすれば一番効率的に回答を書き続けられるか自分なりの方法を見つけて下さい。

法令集のチェックについて

試験当日、法令集の書き込み内容のチェックがあります。

一級建築士の場合は自席に検査官が回ってきて法令集をチェックする形でしたが、

建築基準適合判定資格者検定では法令集のチェック部屋があり、受験生はそこに並び法令集のチェックを受けます。

チェックはかなり綿密に1ページ1ページ確認されます。

不正な書き込みが見つかった場合には消しゴムで消す様に指示されたり、最悪の場合は没収される事もあります。

試験当日、自分の法令集が使えないと試験合格は絶望的なので、ルールに則ったカスタマイズとして下さい。

最新版の法令集はこちらの記事をご覧ください。

令和6年度の試験の概要

一級建築基準適合判定資格者検定の概要

受験申込期間令和6年6月3日~7日
試験日令和6年8月30日(金)
試験時間考査A(34点) 10:00~11:25(1時間25分)
考査B(66点) 12:35~16:00(3時間25分)
受験手数料2万7千円(都道府県、市区町村の職員は無料)
受験資格一級建築士
合格発表令和6年12月16日頃(国土交通省HPにて公表、郵送による通知)

二級建築基準適合判定資格者検定の概要

受験申込期間令和6年4月3日~17日
試験日令和6年6月28日(金)
試験時間考査A(50点) 10:00~12:00(2時間)
考査B(100点) 13:10~16:35(3時間25分)
受験手数料2万7千円(都道府県、市区町村の職員は無料)
受験資格一級建築士、二級建築士
合格発表令和6年10月21日頃(国土交通省HPにて公表、郵送による通知)

まとめ

  • 建築基準適合判定資格者検定は建築基準法に適合しているかを判定する資格を取得するための試験である。
  • 令和6年4月1日の法改正により一級、二級の2種類に分かれた。
  • 実務経験と受験資格が見直され受験しやすくなった。
  • 検定試験には考査Aと考査Bがある。
  • 勉強方法は手引き、過去問、講習会などによる。
  • 自分の使いやすい法令集をどうカスタマイズするかがポイント。
  • 令和6年度の試験は一級は令和6年8月30日、二級は令和6年6月28日。

本記事の作成にあたり参考にした条文、書籍等

  • 建築基準法第5条(建築基準適合判定資格者検定)
  • 建築基準適合判定資格者の手引き
  • 国土交通省ホームページ

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